「自分に正直な人生」を送るには定期的なチェックを

「自分に正直な人生を送ればよかった」という後悔は、長い自分の人生において、世間体を気にしたり、必要以上の我慢をしたり、周りの期待に応えるために自分の意思を押し殺したり、あるいは無理をしたりして過ごしてきたために生じる後悔といえる。

この後悔は、基本的に人生の終焉になって気づくことになる。人生をやり直すことは誰にもできないので、この後悔から生じる自分自身に対する怒りや悲しみは大変大きなものになる。この後悔を避けるためには、定期的に自分自身を振り返り、自分自身の意思で、自分自身の人生を歩んでいるかどうかをチェックすることが必要だといえる。

仕事は生きていくうえで非常に重要である。「働きすぎなければよかった」という後悔は、その仕事を面白く感じ、生きがいになっていたことも意味している。文字通り人生を賭けるに値するものだったことだろう。

しかし、働きすぎたために体を壊してしまうこともある。さらには仕事を重視するあまり、家族とのコミュニケーションがなおざりになり、家庭が機能不全に陥ることもある。そのため、最後は孤独な人生を送ることになるかもしれない。多くの人はいずれその仕事から離れることになる。そのときになって、仕事以外にやりたいことが何もないことに気づいても遅い。

仕事だけが人生ではない。よい人生を送るためには、仕事、家族・友人、趣味などのバランスをとることが重要である。絶対的によい人生は存在しない。よい人生は人によって異なる。自分にとってのよい人生とは何かを考えながら、自分の人生を歩む必要がある。

「ありがとう」の言葉が自分も相手も救う

「思い切って自分の気持ちを伝えればよかった」という後悔は、自分の気持ちを伝えなければいけないときに、恥ずかしさ、てれくささ、言いづらさ、厳しいことを言ったら非難されるかもしれないという恐れなどの心理が働き、何もしなかったこと、あるいは何もできなかったことから生じる感情である。

たとえば家族のことを大切に思っているにもかかわらず、何も言わなかったために、自分と家族の間に深い溝ができることがある。忠告すべきときに忠告しなかったために、それが大きな禍根となり、その後の人生に悪い影響を及ぼすこともある。「はい」「いいえ」を明確に示さなかったことで、さらに悪い状況に陥ることもよくある。

難しいこともあるかもしれないが、恥ずかしくても、つらくても勇気を持って自分の気持ちを表すことは、後悔しないためには必要である。たとえ人生の最後の瞬間であったとしても、自分から「ありがとう」という言葉を伝えることで、後悔のない安らかな最期を過ごすことができる。加えて「ありがとう」と言われたほうは、大きな嬉しさを感じる。感謝の念は、相手に対してだけでなく自分に対しても、大きな安らぎ、嬉しさ、心地よさ、満足感などを与える。躊躇せず感謝を伝えることが肝要といえる。

波打ち際に書かれた「Thank you!」の文字
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