プラトンからのアドバイス

いつも他人に意見を求めて、決断できない。最後にしゃべった人の意見に同意してしまう、あなた。

正解を求め、解決策を手にしたいのに、様々な視点のあいだで迷ってばかりのあなた。

プラトンなら、もっと自分に自信をもてとシンプルなアドバイスをくれるだろう。だって、真理はあなたのなかにあるのだ。真理はあなたの外、つまりあなたがもっていないけれどほかの誰かがもっている知識のなかにあるわけではない。

メノン』を思い出してほしい。『メノン』のなかでプラトンは、アナムネーシスを説明している。今、あなたは真理を探しているけれど、あなたはそう遠くない昔、真理のすぐそばで暮らしていたことがある。永遠のイデアの大きな浴槽のなかを漂っていたのだ。

こんな解釈はどうだろう。あなたのなか、あなたの奥底には自分でも気づかないものが眠っているのだ。

だからといって、他人の存在や他者との対話が何の役にも立たないというわけでもない。他者との交流は必要だが、プラトンはその付き合い方に条件をつける。

他者と語り合うのは、あくまでも自身と対話するためであり、あなたが真理にたどりつくためのヒントが他者の指摘から得られるかもしれないからだ。他者の言葉に真理や正解を求めて対話するわけではない。

他者を頼ろうとしないこと

まずは、他者が答えをもっていると思わぬこと、他者を頼ろうとしないことだとプラトンは助言するだろう。

シャルル・ぺパン(著)永田千奈(翻訳)『フランスの高校生が学んでいる10人の哲学者』(草思社)

プラトンとの対話において、ソクラテスが真理を明かすことはない。ソクラテスはただ先入観を取り除き、論点の矛盾に気づかせようとする。何かを明かすのではなく、何かから解き放つのだ。

自分を信じて、他者と会話し、明白な真理が現れる瞬間を待つ。それが「理解する」ということだ。

こうした確証は簡単に見つけられるものではない。確証がなければ、それは印象にすぎない。それこそがプラトンの闘いであった。

ピレボス』に書かれているように最初に感じたことは、ただの反射的な反応にすぎない。確証は、あとになって、ある種のねぎらいとしてやってくる。そうなるともはや人は真理を見ずにはいられないのだ。

プラトン
紀元前428(427?)~前348(347?)
古代ギリシャの哲学者、ソクラテスの弟子(ソクラテス自身は著作を残していない)、アカデミアと理想主義の創始者。
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