道の駅は「六次産業の未来」の縮図

残る課題は「若い人たちがどれだけ農業に参入してくれるか」だ。これについて松本さんは、TTCが手掛ける別のエリアの事例を掲げてこう話す。

「15年やっている『伊豆 村の駅』では生産者の2代目、3代目が会員になったり、30~40代の生産者の青年部が中心になってイベントをやったりしています。新規就農やゼロベースからの成功例さえあるのです」

「金太郎のふるさと」の運営は確かに「外からの資本」が行い、また地元の生産物でないものも置いてある。当初は違和感もあっただろう。「地元生産者の気持ちはどうなる?」というのは住民の偽らざる本音だ。

それでも次第に変化が生まれている。市内在住の男性は「お金は回っている、きっとこれが新しい商売の形なのだろう」と話していた。

筆者撮影
休憩所にすぎなかった道の駅も今や「目的地」に

魅力ある道の駅を作るには「にぎわい」が必要であり、にぎわいをつくる手立てとしては棚を商品で埋める必要がある。その棚が「地元のオリジナル色」を失わない限り、「道の駅」は日本の農業や畜産業の未来を支え、生産者やメーカーと消費者を結び付ける循環経済のプラットフォームであり続けるだろう。

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