変化を作る人は排除される

【中野】結果を重視していれば、もっと実力のある人が力を得て、「こういうふうにIT化を進めましょう」「コロナ対策はこういうふうに科学会をやりましょう」などと、もっと効果的に効率よく実現できたのではないか。

変えようとする人がどんどん排除されてきた。いまの日本の姿は、すべて過去の私たちの振る舞いの結果です。

本質的には、これも現状維持バイアスだと思います。国家として、組織としての現状維持です。

実力のある人は“悪”になる

【中野】現状維持のほうがいいと多くの人が思っていることもありますが、それ以上に、実力のある人は“悪”とされる。

中野信子×和田秀樹『頭のよさとは何か』(プレジデント社)

新しいことを始める人がいると、既得権益を握った人たちは「自分たちの立場をどうしてくれるんだ」と考える。だから、実力のある人から真っ先に首を切られる。

東京オリンピックの開会式の演出を担当していた演出家の方の問題など、詳細はわかりませんが、透けて見えるものはまさしくそうですよね。

実力があって、新しいこと、かっこいいことをやろうとすると、ある立場の人からは最も“悪”になる。「体制を壊す人」ですね。体制が強ければ強いほど、そういうことが起きる。

実力のある人なんか、この国では歓迎されません。まして女性は。

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