「自己分析」を日常的に行っていた日本代表
メンタルトレーニングの一環で、僕らはひんぱんに自己分析を行っている。
「鳥海連志とは、一体どんな人間か?」
この問いに対して、僕はいくつかの答えを持っている。
・俯瞰した視点を持つようにしている
・二面性がある
・マイペース
・気分屋
・冷めている
ここでは最初の「俯瞰する目」について話したいと思う。
「俯瞰する目」を言い換えると「客観的な視点」。自分のことを客観的に見つめることで、どんな振る舞いをしているか、周囲からどう見られているかを把握することができる。いうなれば、自己分析も自分を俯瞰することのひとつの手法だ。
俯瞰を言語化するとき、「もうひとりの自分がいる」イメージになる。プレイ中は斜め上(ちょうど観客席から見下ろしているような感じ)、プレイを離れたときは真後ろに「もうひとりの僕」がいて、僕を冷静に観察している。
僕がこの視点を持つようになったのは、メンタルトレーニングに取り組み始めた2017年の初め頃から。自分のことを知り、置かれている状況に目を配れるようになったのは僕にとって非常に大きな収穫で、いっそう緻密な戦略や見通しを持ってプレーすることができるようになった。
斜め上にいる「もうひとりの僕」の効果
東京パラのスタメン入りを目指し、「代表メンバーに自分のことを認めてもらうためにはどうしたらいいか?」というテーマを追求したときにも、とても役立った。
自分とそれぞれの選手とのやり取りを俯瞰する視点から見ることで、相手が求めているものや自分の見られ方、そして自分に足りないものを把握することができ、改善できたからだ。
オールラウンダーとしてプレーする僕は、試合の流れや時間、点数、出場している選手に応じて役割がめまぐるしく変わる。
「このメンバーで出ているときはオフェンスをコントロールしよう」「この選手が入ったら自分で積極的に攻めよう」というように、自分がすべきことが瞬時に判断できるようになったのは、斜め上にいる「もうひとりの僕」の視点を持てるようになった影響が大きいだろう。
僕はあまり自分のパフォーマンスを振り返らないタイプで、試合映像なども基本的に見返さない。これは、俯瞰する目で試合中から自分を客観的に捉え、試合の中である程度自己評価を整理するようにしているからなのかもしれない。