東京パラリンピックで銀メダルを獲得した車いすバスケ日本代表。その中核で、大会MVPにも選ばれた鳥海連志選手は、「メンタルトレーニングで『平常心』を身につけたことがいい結果につながった」と振り返る。どのような方法で強いメンタルを手に入れたのか――。

※本稿は、鳥海連志『異なれ 東京パラリンピック車いすバスケ銀メダリストの限界を超える思考』(ワニブックス)の一部を再編集したものです。

2020東京パラリンピック車いすバスケ男子準々決勝で、強豪オーストラリアを破った直後の鳥海連志選手(中央)と、チームメイトの古澤拓也(左)、豊島英(右)の各選手(2021年9月1日)
写真=長田洋平/アフロスポーツ
2020東京パラリンピック車いすバスケ男子準々決勝で、強豪オーストラリアを破った直後の鳥海連志選手(中央)と、チームメイトの古澤拓也(左)、豊島英(右)の各選手(2021年9月1日)

日本代表のディフェンス力を支えた鳥海選手の「平常心」

長年積んできたメンタルトレーニングによって、僕ら日本代表メンバーは、外的なストレスに振り回されず、常にいつも通りでいられる“しなやかなメンタル”を身につけるように取り組んできた。

日本代表の最大の強みは、相手のやりたいことを5人全員の連携で守るシステマティックなディフェンスだ。常にルールに従って動くことが求められるこのディフェンスでは、テンションやパッション、そして何より冷静さが求められる。

僕らはメンタルトレーニングを通して、ディフェンスに欠かせない「平常心」を身につけたことで、銀メダルという成績を挙げることができたと思っている。

「いつも通りのテンション」がいい結果を生みだす

僕は“強メンタル”揃いの代表メンバーの中でも、とりわけメンタルが強い選手だと自負している。

緊張しない。
ネガティブにならない。
自己肯定感が高く、何でもできると思っている。

元々の性格を土台に、トレーニングによって上積みされた僕の強みは、東京パラでもしっかり生かされたと振り返っている。

カナダ戦ではコントロール不能な精神状態になってしまったものの、それ以外の試合はいつも通りのメンタルで試合を戦った。予選ラウンドのキーとなった韓国戦も、歴史的快挙と報道されたイギリス戦も、決勝のアメリカ戦も、「やってやるぞ」というような意気込みや、特別な高揚感などは持っていなかった。

「今までやってきたことしかやれない」というマインドで、いつも通り寝て起きて、いつも通りふざけながらウォーミングアップをして、いつも通りのテンションで戦ったのだ。