長い文章を書いて、仕事をした気になっている人もいるようです。しかし、それは自己満足しているだけの勘違いです。自分が冗長な文章を読まされたら、「迷惑だな」と感じるはずです。であれば、読み手の立場で書けば、文章はおのずと短くなるでしょう。当社は27年前、「スピリットベンチャー宣言」という企業理念を掲げ、そのなかで「文字は少なく、言葉は簡潔に、相手の時間を奪わない」と明記しました。

相手の立場で文章を書くようにすれば、こんなアイデアも湧いてきます。新規事業の企画案を、相手に提示するケースを考えてみましょう。プランが4種類あれば、それぞれのポイントを箇条書きでまとめます。そして「①〜④」の選択肢のなかから相手に選んでもらいます。また「お勧めのプラン」とその理由も一言書き添えます。そうすれば相手は瞬時に判断でき、私なら「②でOK」などと数文字で返答します。相手の反応を想定し、返信文が短くなるように工夫して、返信に費やす時間を減らすことが大切なのです。

部下は上司より短い文章を書けない

当社で使っているオンラインのコミュニケーションツールは、メールとチャットです。メールは主にお客さまなどの社外向けに単発で送信する場合、一方のチャットは主にグループ内や取引先などと継続的なやり取りをする場合に使っています。チャットは、具体的にいうと「スラック」と「チャットワーク」を採用しています。

私自身は、ネット上に「クマガイコム」というブログを開設し、先ほどのツイートのような情報発信もしています。SNSでは個人的な出来事も伝えますが、会社や仕事に関する投稿が多くなっています。私はGMOインターネットグループの創業者で、GMOとは一心同体です。それだけに我がことのように、会社のことを知ってほしいからなのです。

私は高校を中退して働き始め、それから起業しました。そして経営者になってみて、幅広い知識や物の見方が必要だと痛感し、小説や実用書などさまざまなジャンルの本を読んできました。いま振り返ると、そうしたなかで多方面の知識や情報だけでなく、豊かな表現力や文章を短く書く構成力なども、自然と私の血となり肉となってきたのだと思います。

ところで、私がいくら口酸っぱく言っても、ごくたまに長文を送ってくるパートナーがいます。そうした場合、読まずに「結論ファーストで短い文章に書き直し、再送信してください」と返信して、スピリットベンチャー宣言に掲げた理念が浸透するように心がけています。これは諦めず、何度も繰り返すことが大切なのだと思います。