とくにメールやチャットを送信する場合、「結論ファースト」と「短い文章」という2つのポイントを厳守することが肝心です。結論ファーストとは、要点を冒頭の一文に集約することです。たとえば、新聞をはじめとするニュース記事は、基本的に「見出し→リード→本文」という構成になっています。その最初の見出しこそ「結論」であり、それだけを読んでも、ニュースの概略を摑むことができます。

メールやチャット、そしてSNSでも、そうした文章構成がベストだといえます。必要最小限の文字しか使わないという狙いで、私は絵文字や記号だけを使って、積極的に返信するように心がけています。何らかの社内決裁に対する承諾の意思表示を行うような場合なら、「OKサイン」のマークを送信すれば済むわけです。たった一文字でも、相手とのコミュニケーションが成り立ちます。

なかには「伝える内容によって、文章が長くなるのはやむをえないではないか」と、考える人がいるかもしれません。しかし、文章は工夫次第で、圧縮できます。たとえば、結論の文の下にリンクを張って、別の文章が読めるサイトのURLを示しておけば、詳しい内容を知りたい場合、そのサイトに飛べばいいわけです。一例として、21年1月5日の私のツイートをご紹介します。

「DXを一言で説明するとIT化×業務革新=DX これがDXの方程式」

というものです。「IT化だけではDXにあらず」というのが私の主張です。IT化とDXを混同している論調が多いので、持論を発信したわけです。そして、その文章の下により関心のある人のために、「ブルースターバーガー」という飲食店のDXの成功事例を載せたURLを張り付けておきました。

「時=命」なり。大切な時間を奪うな

では、なぜ短い文章にこだわるのか? それは、長い文章を読ませると、相手の時間を余計に奪うことになるからです。「時は金なり」とよく言われますが、ビジネスパーソン、そしてすべての方において「時間=命」です。

私自身が夢の実現のために創業以来、1分1秒を惜しんで働き続けているので、時間の価値は誰よりも理解しています。お客さまや社外のステークホルダーはいうまでもありませんが、パートナーたちの大事な時間も奪うようなことがあってはいけません。

私たちのグループには約7000人のパートナーがいて、1人がメールを1分読めば延べ約7000分、つまり約117時間もの業務時間を費やす計算になります。そのメールが万が一にも不要なものであれば、グループ全体で約117時間という「命」を奪われたことになるわけです。当然のことながら、生産性にも大きく響きます。