グーグルで働いている人たちの表情は明るいとよく言われる。それはみんなが仕事を楽しんでいるからだ。

グーグルでは会社全体がインターネットやクラウドコンピューティングの将来について揺るぎない確信を持っている。そこにはまったく迷いがないから、会社はそこにどんどんお金を投資し、エンジニアは自分の才能を惜しげもなく投入していく。

「新しい時代を創っている」世界で仕事をしているとみんな思っているので、自ずと仕事が楽しくなるのである。

同時に、会社はみんなが楽しく仕事ができる職場環境をつくることに腐心している。オンラインの時代には、仕事とプライベートの時間を分けることにそれほど意味はない。帰宅してもオンラインにつなげば仕事はできる。

逆に成果さえ出せば、会社でレクリエーションしても構わない。だからオフィスには遊び道具がいっぱい置いてある。重要なのは、24時間という自分の持ち時間をどうデザインするかだ。

だから我々はワークライフバランスを保つ職場をつくることも心がけている。食事の心配をせずに済むよう、フリーで3食提供するのはその一環だ。

コミュニケーションの活性化にも力を入れている。イノベーションは急に閃くものではなく、コミュニケーションの中から湧いてくるからだ。

コミュニケーションはどんなに取っても取りすぎることはない。そうトップマネジメントが言うように、常にいろんな人と話す風土を大切にしている。例えば、マネージャーは週に1回は部下と1対1で話すことが義務づけられている。上司が部下を放っておくことはまずない。業績評価も必ず本人と面談して伝える。

こうしてみると結局、私の話に特別な内容はない。昔から世の中で大切だとされていることはグーグルにおいても同様だ、ということなのだろう。

※すべて雑誌掲載当時

(宮内 健=構成 相澤 正=撮影)