悩んでいるうちに機会損失が膨らんでいく

「新へそくり三分法」は、現実と理想の未来とのギャップを、へそくりで埋めていくための方法です。現実を直視し、理想の未来へと思いを巡らせて、今何ができるか、何をするべきかと考え、編み出した方法です。実際、仕込んだへそくりが多ければ多いほど、未来の選択肢も、また多くなるはずです。

自分は本当は何がやりたいのか、よくわからないというお客様がいらっしゃいます。そんな方には、自分探しをする前に、まずへそくりを仕込んでおくことをお勧めしています。自分のやりたいことを探している間に、どんどん時間が過ぎてしまい、獲得できるりんごの数が少なくなってしまうからです。

山口京子『貯金ゼロから始める「新へそくり生活」のススメ』(プレジデント社)

お金の悩みも同じです。なかなか収入が増えない、転職しようか副業を始めようか悩んでいる、子どもの教育費を出せるだろうか心配だ、親が認知症になったら施設に入れた方がいいだろうかなどなど、悩んでいる間にも貴重な時間はどんどん過ぎてしまいます。「悩みがあれば、まず、へそくれ!」です。

今の30代は、親の介護と同時に、自分の介護の心配までしています。介護の平均的な費用は、1カ月約8万円、施設に入れば20万円程度です。人生も終わりにさしかかった時に、大学の授業料や、マンションの家賃くらいのお金がかります。大学なら4年で卒業ですが、介護はいつまで続くかはわかりません。

ファイナンシャルプランニングでは、もしこういう前提なら、と仮説を立ててライフプランをつくり、キャッシュフロー表をつくります。ただしこれは、あくまで仮の人生プランです。いつから何年間介護状態になるかわかりませんし、介護状態になると決まったわけでもありません。将来のインフレ率を少し上げただけで、見通しにも大きな誤差が出ます。いくらシミュレーションしても、答えが出ないものもあるのです。

積み立て投資はゲームでもギャンブルでもない

未来は予測が不可能だから、何もしないのではなく、わからないからこそ、へそくりで備える必要があるのです。

積み立て投資は、株価の予測を立て、その当たり外れで一喜一憂するゲームのような投資法ではありません。最近、日本人にもようやく注目されるようになってきましたが、早めに仕込んでじっくり成果を待つ、種まきをして実が熟すのを待って収穫する農業のような、堅実で粘り強い日本人にぴったりの投資法です。

人生は確かに長くなりましたが、健康で過ごせる時間は平均寿命よりずっと短く、男性は73歳、女性は75歳です。貴重な時間を、お金のことで迷ったり悩んだりすることに費やすなど、実にもったいないことです。コツコツと積み立てるへそくりを1つでも多く仕込み、あとは自然に増えるのに任せて、限られた自由な時間を存分に楽しんでください。

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