ただ、「このメンバーが求めているのは、承認欲求、社会的欲求、安全の欲求のどれだろうな?」という見方はするようにします。それを見ながら対応することが多いです。

おおむね、プロジェクトの位置づけ、重み、重要性を訴求すると、多くのミドル層のモチベーションにプラスに働くことは間違いないです。

繰り返しですが、この6割の下がりきったモチベーションをどれだけ戻せるかがプロジェクトリカバリの成否を握りますので、ここは丁寧に、気合いを入れて臨みましょう。

ボトム層には言葉より業務量を考慮する

ボトム2割のモチベーション改善
木部智之『プロジェクトのトラブル解決大全』(KADOKAWA)

正直に書きます。この層については、半分諦めます。しかし、もう半分はモチベーション回復に期待します。

モチベーション改善といっても、他の2つのカテゴリとは違って、言葉で何か訴えかけるというより、業務量をコントロールしてあげたり、仕事の山谷の濃淡をつけてあげたりといった対応をします。

ボトム層には目の前の自分の仕事や環境に不満を持っている人が多いので、それを「一時的に」「少しだけ」解消することを試みます。ただし、「ずっと」解消してしまえば、炎上プロジェクトならなおさら仕事が進まなくなってしまうので、あくまでも「一時的な」緩和です。

モチベーションは「上げる」のではなく「戻す」

メンバー一人ひとりにそんなに手間をかけられないと思うかもしれませんが、モチベーション管理はプロジェクト遂行にあたって欠かせません。炎上時なら、まずはモチベーションを「上げる」のではなく「戻す」ことを意識して取り組みます。

また、そのための声かけ、会話を通して、リーダーとメンバーの関係構築にもプラスの影響があります。当然それは、プロジェクトの遂行にも寄与します。

関連記事
ダメな上司ほど最初に使ってしまう…「部下との1対1」で避けたほうがいい"ある言葉"
不本意すぎる異動で出社拒否寸前になった私を変えた「上司のある一言」
デマが事実として炎上ネタに…池袋暴走事故の加害者家族が伝えられなかった本当のこと
「人事部にはあらゆる陰口が集まってくる」業績は高いが評価されない人に欠けている"ある観点"
「ネルソン提督のようですね!」部下の時間を奪うダルい上司を私がそう褒める本当の理由