大きくは3つのカテゴリでモチベーションコントロールの濃淡をつけます。
組織・チームは、おおよそ2:6:2の法則で構成されます。優秀な上位層が2割、平均的なミドルレンジの人材が6割、下位のグループが2割に分かれるという考え方です。
私はこれを、マズローの欲求5段階説のピラミッドを重ねて、図表1のようにマッピングします。これは私の実感から出てきた考え方で、このように見ると、2:6:2のそれぞれの層のモチベーション改善の観点がわかりやすくなります。
炎上時、最も手厚くフォローすべきは…
特に炎上時においては、モチベーションケアをする割合は均等ではありません。
優秀なメンバーは自分でコントロールできている人が多く、あまり心配いりません。逆に、最下位層のメンバーは手当てをしても回復しないことがほとんどです。あまり手間をかけることはありません。
そして、一番手厚くフォローしないといけないのが、ミドルレンジです。
ミドルレンジの人たちは人数も多く、この層のモチベーションがだだ下がりでは、プロジェクトのリカバリがうまくいきっこないからです。
この視点に加え、プロジェクトのキーメンバーに対しても力を入れたフォローが必要です。リーダーだけではなく、技術的なキーパーソンだったり、業務的なキーパーソンだったり、ムードメーカーだったり、チームにはさまざまなキーメンバーがいます。そのようなキーメンバーのモチベーションは、特にケアするようにしましょう。
部下のモチベーションの改善方法
2:6:2のカテゴリごとに見たモチベーションケアの方法を、いくつか具体的に紹介します。もちろん、実際には一人ひとりの性格・性質を見ながらのケアとなりますが、参考にできる点があれば取り入れてみていただけたらと思います。
上位2割のモチベーション改善
上位2割のメンバーのモチベーション改善をする際は、相手のプライドを損なわないことを意識します。たとえば直接的な動機づけ「君ならできるよ」などはプライドを損ねてしまうことが多いです。
上位2割にこのような言葉をかけても、相手は内心「当たり前でしょ」といった感じで、ちっとも刺さりません。
よって、相手のプロ意識に訴えたり、「この難しいプロジェクトをやり遂げられる人なんてそうそういないよ」という感じで、ミッションのハードルをあえて高めることで、モチベーションを引き上げたりします。
あとは、「ここはお前に任せる」と言葉で伝えるなど、責任をある程度渡してしまうこともあります。上位2割のメンバーは、これで奮い立つ人もいます。
それ以前に自分でモチベーションコントロールができているメンバーも多いので、そうしたメンバーには特別なケアは不要です。
モチベーションの波の上下を見て、気にしておくくらいで大丈夫です。
プロジェクトの成否を担うミドルレンジ
ミドル6割のモチベーション改善
ミドルレンジは人数も多く、人それぞれモチベーションの源泉が違うので、個別対応が多くなります。個々に人をよく見てあげた上で声かけしましょう。