取引先や部下に仕事の期限を守らせるにはどうすればいいか。『プロジェクトのトラブル解決大全』(KADOKAWA)を書いた木部智之さんは「期限に遅れた時には、なぜ遅れたのか、と毎回問いただすことが重要だ。期限を守らなければ怒られる、という緊張感を与えたほうがいい」という――。
ノートパソコンから出てくる目覚まし時計を見つめるビジネスマン
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プロジェクトの成否を握る「時間的な余裕」

仕事の中でも、特にトラブル対応においては、どれだけバッファーを作り出せるかが勝負の分かれ目の1つです。

図表1に、チームAとチームBの作業計画があります。

チームAは作業タスクごとにバッファーを計画しているもの。

チームBは、一つひとつのタスクからバッファーを排除し、すべてのバッファーを最後に持っていくスケジュールです。

どちらのチームのほうがすべてのタスクを早く終わらせられるでしょうか? 理由とともに考えてみてください。

答えはBです。理由は、バッファーというものは子供のお小遣いと同じだからです。つまり、各メンバーにバッファーを与えると、それをすべて使ってしまうのです。

チームBの計画はバッファーをチーム全体で計画しています。どれかのタスクで遅延が発生してバッファーの一部を使うことはありますが、バッファーのすべてを使うことはありません。

言い値の作業時間を信じてはいけない

みなさんは、上司や先輩から「これ、いつまでにできる?」と仕事を頼まれた時、どのように答えますか? 私は、「あ、これは3日でできるな」と思っても、「5日くらいかかりそうです」と答えます。ほとんどの人はそうだと思います。なぜなら、3日でできると答えてできなければ怒られるからです。

つまり、リーダーの立場からすると、メンバーの言い値の作業時間には必ずバッファーが乗っている、と思わなければいけません。

その言い値の作業時間をすべて受け入れてしまえば、全メンバーのすべての作業にバッファーが積み重なってしまい、作業計画を立てた時には、もうすでにプロジェクトスケジュールをはみ出した計画になってしまっています。