扱いづらいが、後に協力的になるタイプ

1つ目のパターンは歓迎タイプです。これまで、苦労に苦労を重ねても一向に状況が良くならなかった。そこに火消し役として新しいリーダーがやってきた。なんとかしてほしい、なんとかしてくれるだろう、という期待を持っているタイプです。

逆に、斜に構えるタイプもいます。「これまで自分たちがやってきてうまくいかなかったのに、いきなりやってきて何ができるんだ」という態度を取ったりします。このタイプは自負が強く、私はかつて「お手並み拝見ですね」と直接いわれたこともあります。

このタイプは、最初は扱いづらいこともありますが、気持ちが強く、責任感が強いことが多いです。したがって、プロジェクトが進んでいくにつれ協力的になってくれることが多いので、しばらくの辛抱と思って接するといいでしょう。

プロジェクトの大きな阻害要因になる人の特徴

そして、一番厄介なのが、面従腹背タイプです。

表向きは、協力的な態度を取っていても、腹の底では批判的なスタンスを取っています。単に腹の底で思っているだけなら影響は少ないのですが、問題となるのは、プロジェクトとしての指示を無視したり、陰で自分の仲間を増やしたりすることです。

私がこのことに気づいたきっかけがあり、その光景はいまだに鮮明に覚えています。私がPM(プロジェクトマネジャー)をしていたプロジェクトでのことです。

あるチームの会議でディスカッションを終えて会議室を出ました。出た瞬間に伝え忘れたことを思い出し、部屋に戻りました。すると、そのチームのリーダーが「木部の指示は聞かなくていい、聞く必要がない」とメンバーに話していたのです。

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その場にかなりの気まずい空気が流れましたが、今となっては、私にとって、とても貴重な経験となりました。面従腹背タイプはプロジェクトの大きな人的阻害要因になります。このことがあって以来、面従腹背タイプに常にアンテナを張るようになりました。

面従腹背タイプがいることがわかれば、外堀を埋めるとか、刺客を使って影響力を下げる、などの手を打つことができます。

面従腹背タイプの存在に気がついても、恐れることなく、慌てず、感情的にならず、むしろ「存在することがわかってよかった」と捉え、落ち着いて対応すれば大丈夫です。

2:6:2の法則で考える

プロジェクトチームには、優秀な人もいれば、そうでない人もいます。姿勢も、ポジティブだったりネガティブだったり、斜に構える人もいます。

そのように構成されているプロジェクトチームの全員のモチベーションをコントロールすることは不可能です。ですから、メンバーのスキルや特性によって、モチベーションコントロールの濃淡をつけるようにします。