血の繋がりがなくても家族にはなれる

アメリカが生んだ大人気シリーズ『ワイルド・スピード』という“ヤンキー”映画です。

『ワイルド・スピード』は、世界中の陽キャラや、“ヤンキー”たちが大好きな映画としてよく知られています。カーチェイスのシーンが満載で、車大好きな連中が、「超カッケー!」というノリで観る映画なんですよね。

実は、この映画にも「家族」というテーマが深く関わっています。登場人物たちの誰もが複雑な家族関係という共通の問題を背負っており、そうしたならず者たちが集まり、窃盗などの犯罪に手を染めていくという物語なのです。

シリーズを通して主人公役を担うドムは、仲間たちの前で「オレたちはファミリーだ」と毎回言います。とはいえ日本語の「家族」と、ドムが言う「ファミリー」のニュアンスは少し違う。彼が示唆するのは、血の繋がりはなくとも、仲間意識を感じたり、共感を覚えたりできれば、誰でも「家族」(ファミリー)になれるし、幸福を共有できるということ。

見た目はハチャメチャな“ヤンキー”映画ですが、こうした見方もできるのです。

どうも日本には、「血の繋がり」を大事にしすぎる空気があるような気がします。その繋がりにどうしても耐えられないのであれば、切ってしまってもいい。僕はそんなふうに思います。残念ながら、日本社会にはまだまだそういう風潮は育ってきていませんが……。

映画は様々な「家族の形」を教えてくれる

しかし、映画の世界では、そうした考えがいろんな作品の中で描かれていることを知っていただきたい。すでに日本でも、徐々にではありますが、これまでと違った家族の形を描写した映画が誕生し始めています。

しんのすけ『シネマ・ライフハック 人生の悩みに50の映画で答えてみた』(KADOKAWA)

有名なのは、先ほど紹介した『万引き家族』。それから、2021年を代表する傑作映画であり、同じく「家族」という言葉がタイトルに含まれる『ヤクザと家族 The Family』も、血の繋がりと家族について考えさせてくれる作品です。

家族の問題に悩んだとき、映画を観ることで様々な「家族の形」の存在を知るという方法は、自分自身を救い出すためにも大切だと思います。そこで描かれているストーリーに共感し、登場人物に仲間意識を感じられれば、自分が直面している状況がそれまでと違って見えてくるかもしれません。

問題に正面から立ち向かうもよし、立ち向かわずに逃げるもよし。家族のことで悩んだとき、いろんな立ち向かい方があるという事実に映画を通じて触れてほしいですね。

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