「親ガチャ」という言葉をよく耳にするようになった。前明石市長の泉房穂さんは「父は小卒、母は中卒で、一般的には『親ガチャに外れた』という貧乏な家庭だった。だが、政治家になる時にはそれが武器になった。若い人が『親ガチャ』に嘆くのは早計ではないか」という――。

※本稿は、泉房穂『20代をどう生きたらいいのか』(さくら舎)の一部を再編集したものです。

日本をクローズアップした地球のイメージ
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世界と歴史の変化を意識する

歴史の変化を意識、なんて言うと大仰に聞こえますが、「時代が変化していく途中に自分たちがいることを自覚しよう」ということです。

世界の中に、そして歴史の中に私たちはいます。そして世界はつねに動いています。ですので当然のことながら、これからどう変化していくのか先が読めれば、自分たちがどう行動すべきかもわかってきます。

たとえば私は市長だったとき、まずは地球儀を見るように俯瞰ふかんし、日本のほかの地域や世界の国、都市に視野を広げてみました。そうすると、自分たちのまちに必要ないろいろな政策が具体的に見えてきます。

たとえば明石市で実施した無料のおむつ定期便は、滋賀県の東近江市がすでに行っていました。その制度をバージョンアップして、ただ届けるだけでなく、子育て経験のある人を担当者にして、毎回同じ人が届けて話を聞けば、育児をしている人も助かるのではと考え、自分たちの市により適応させるかたちで導入しました。

離婚前後の子どもの養育費の立て替えも開始しましたが、これはもともとヨーロッパで行われており、それがお隣の韓国に導入されたものを、輸入しました。これは韓国の制度に準じて行っています。

明石市の施策は「世界のどこかの成功実績」のまね事

ソウル市では中学校の給食費無料化も行っていたので、それも導入しました。

生理用品の無償配布はニュージーランドをまねて、全市立学校の女子トイレに生理用品を置いています。

各種審議会に障害のある人を1割以上入れること、という条例も全国初でつくりました。これはルワンダの憲法を参考にしています。

地球儀をぐるっと見まわして、世界のどこかですでに成功実績があり、市民にとって「これいいな」と思った施策をまねているだけなのです。

日本だけ、自分の近くだけを見て考えていると、「これはできない」「あれもできない」となってしまいますが、視野を広げてみると、「えっ、これやってる国あるやん」「これもできるんちゃうか」となる場合がけっこうあるのです。