親を選べないことを景品のガチャにたとえた「親ガチャ」という言葉が生まれるほど、家族との関係に悩む人は多い。TikTokで映画を多数紹介しているしんのすけさんは「幼いころに両親が離婚した僕は、映画の登場人物に自身を重ねることも多い。特に『万引き家族』のあるシーンにはとても共感した」という――。

※本稿は、しんのすけ『シネマ・ライフハック 人生の悩みに50の映画で答えてみた』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

「この境遇は自分だけじゃない」と思わせてくれる

家族についての悩みは、ごくごくプライベートなものだけど、この地球上に住むほとんどの人たちが共有できる悩みではないでしょうか。

それだけに、家族についての様々な悩みを取り上げた映画も多く、登場人物に自分自身を投影したり、仲間意識を感じたりできる作品を見つけるのは難しくありません。そんな映画と出会うことができれば、「この境遇は自分だけじゃないんだ」「おっ、仲間だ、こいつ」といった安心感を得られたり、自分の悩みを明確化できると思います。

映画『万引き家族』ポスター
映画『万引き家族』ポスター©GAGA Corporation

映画で描かれる家族に関する悩みのほとんどは、最終的に解決に向かっていくのが定番です。すれ違っていた家族間の思いが通じ、最後にわかり合えてハッピーエンド。

ですが、「すれ違っていた家族間の思い」の種別の違いによって、映画ごとの個性が生まれ、独特の作品となります。つまり、一口に「家族に関する悩み」をテーマにした映画と言っても、様々なタイプのものがある。

例えば僕の場合、幼いころに両親が離婚したため、母子家庭で育っています。兄弟や姉妹はいないため、母1人、子1人です。幼いころは、やはり「親が離婚した」ということが悩みの1つでしたね。悩みより、違和感に近かったのかもしれません。

誰かと繋がるなら「ネガティブ」な話題でもいい

家族に関する悩みの中で、「親が離婚した」というケースは比較的多いのではないでしょうか。もしもあなたが、「親の離婚」という悩みを抱えているのだとしたら、自分を映画の中の主人公として捉え、「自分は“負荷”を1つ持ってるんだな」と俯瞰ふかん的に考えてみてはどうでしょうか。自分の状況を俯瞰的に捉えることで、精神的苦痛を和らげる効果もあるはずです。少なくとも僕はそう思い、自分の負荷を受け止めていました。

“負荷”なんて言葉を使うと、何だかネガティブな印象を抱くかもしれません。しかし、それくらいの強烈さを与えたほうが“物語性”を高められますし、同じ悩みを抱える人と出会ったときに、その人物に対して強い仲間意識を感じるという効果をもたらしてくれます。

悩みを抱え、乗り越えようと思うとき、同じ悩みを抱えた他者との仲間意識は大きな支えとなります。

他者との仲間意識という話をすると、通常考えられるのは、共通の趣味や仕事を持っている人を想像するかもしれません。でも実は、仲間意識が最も強く感じられるのは、共通の悩みを抱えている同士だと思うんですよ。