仕事で食べるようになって、和菓子が好物になった
――すごく素朴な疑問なんですけど、それだけたくさんのお菓子を食べられたり、和菓子屋さんを回られたりしている理由というのはどういうことなんですか。
理由は、単純に和菓子が好きだからです。昔は甘いものに興味なかったんですけど、仕事で食べるようになって、今は完全に好物となっています。あとは、お客様に知ってもらいたいということ。各種媒体ではどうしても洋菓子のほうが取り上げられる機会が多いですよね。でも、和菓子の魅力はいくらでもあるので、それを伝えていきたいという思いです。
――ビジネスとしてはどういう意味があるんですか。
それは情報を取るためです。これだけネットで情報があふれてはいますが、和菓子の場合、一部のビッグブランドを除くと、季節商品などの情報がまったく取れません。お取引先様の商品情報がネットでは拾えない。お店の方がインスタをやっていたとしても、次の季節のお菓子は何か知ろうとしたら、インスタの過去記事を1年分近く遡ってようやく見つかるかも、という感じになってしまいます。それを47都道府県全部のお取引先様ぶんやっていたら日が暮れてしまう。
それよりは、実際に行ったときに食べたお菓子の記録をブログなどに溜めておいて、その季節が来たら、過去記事を出してきたほうがいい。自分の引き出しの中にネタをいっぱい突っ込んでおくという作業ですね。
「銘菓百選」の売り上げはここ10年で2倍になった
――その情報は、たとえば、高島屋の全国の和菓子を扱うコーナー「銘菓百選」で季節の商品を置くために使えるわけですか。
そうです。さほど広いスペースではありませんが、「銘菓百選」は500以上のアイテムを扱っています。それで、お正月のお菓子が終わったから、今度はチョコレートのお菓子、節分のお菓子、いちごのお菓子と、季節のものをどんどん仕掛けていく。だから、ネタはいっぱいないとダメなんですよね。
「銘菓百選」の売り上げは、ここ10年で約2倍になっています。最新情報を掴んで、それを発信して、という地道な作業が、その売り上げにどれだけ寄与したか、数字ではっきりとは見えませんが、多少なりとも意味はあったんじゃないかと思います。