実家売却時に知らないと損をする2つの特例

実家を所有していた親が亡くなった場合、建物と土地の所有権移転の登記を行わなくてはなりませんが、この手続きは現在、義務化されておらず期限もありません。しかし名義変更を行わないと、時間がたち相続権の所有者が亡くなるなどして権利関係が複雑になっていき、相続時や売却時のリスクがどんどん増大するので、権利を持った人同士で早めに話し合い、手続きしておくほうがいいでしょう。

如月サラ『父がひとりで死んでいた』(日経BP)

知っておいたほうがいい制度のひとつに、土地を相続するときに相続税を大幅に下げる「小規模宅地等の特例」があります。これは亡くなった人が住んでいた土地、事業をしていた土地、貸していた土地については面積が330平方メートルまで、一定の要件を満たす人が相続するときに宅地の評価額を最大80%減額するという特例です。

また、実家が空き家になり売却を検討する場合、1981年5月31日以前に建築された家屋であること、最後にその家に居住していた人が被相続人であり、その後相続人が居住や賃貸用として使用していないなどの一定の条件の下、譲渡所得から3000万円を控除する特別控除(通称「空き家特例」)を利用できる場合がありますが、この制度自体に期限があります。

どちらも条件が複雑なので、自分が当てはまるか専門家に相談することが必要です。

こういったさまざまな制度を知らないと慌てて自宅を賃貸、売却するなどして税金面で不利になりかねません。親の死後に実家の管理や建物と土地をどうするかは早めに情報収集して検討を始めておくのが大切です。

関連記事
「自宅を売って老母を施設に入れよう」そう考えていた52歳男性の頭を真っ白にさせた司法書士の質問
「親がなんか変」と思ったら…年末年始の帰省で必ずチェックすべき"家の中の2つの場所"
「父親の家のリフォーム代を、父親の口座から払えない」息子が銀行の窓口で"しまった"と叫んだワケ
株で資産3.6億円を築いたサラリーマンが教える「儲かる決算書」を3分で見抜く5カ条
「不安な気持ちがスッと消える」人生の"幸せスイッチ"を入れるためのアタマの使い方