もちろん、数学が得意な人材だけでは、社会や経済を変革するようなデジタル力は生まれない。

日本は技術で勝ち、産業で負ける苦い体験を繰り返してきた国だ。数学力をデジタル力に結びつけるには、技術だけでなく、人々が求めたり、受け入れたりするような技術やサービスを作る必要がある。そのためには、「理系」「文系」という分け方も見直されていいだろう。

文系もデータ分析や統計に関わる数学を学ぶ必要があるし、理系も歴史や文化、心理学などを知ることが大切だ。理系に少ない女性を増やすことも重要な課題だ。

「変わった人」を評価する懐の深さがあるか

そして、政府、企業、大学には懐の深さも求められる。数学力を発揮する人の中には、世の常識にとらわれない、世間の目からは「変わった人」と言われるようなクセの強い人もいる。米グーグルも変わった経歴の人を積極的に採用していると言われている。評価する側の力も問われるところだ。

政府は、短期間で実用や産業につながる成果を生む研究に手厚く予算をつけてきたが、基礎研究には冷たい。数学の場合は、実用化につながるとは到底思えないような研究や知見が、長い歳月を経てIT社会を支える暗号通信を生むなど、予想できない「化け方」をすることもある。そうした芽をつぶさないような評価とはどういうものか。この点は産官学でもっと真剣に検討すべきだろう。

数学の必要性を求める現在の社会の裏には、日本社会が不得手な数々の問題が透けて見えてくる。

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