賢くないふりをする理由は、相手の競争心を取り払うからです。交渉を手伝ってくれと言っている相手に、どうして闘争心がわくでしょうか。「わかりません」と言っている人と、どうやって競争的な会話を続けることができるでしょうか。あなたはどう思いますか。ほとんどの人は、このような状況になると、相手に同情して、わざわざ助けてあげようとします。

一方、交渉で不利になる人のタイプは…

テレビ番組『刑事コロンボ』を覚えていますか。ピーター・フォークが演じた刑事は、古びたコートを羽織り、不明晰ふめいせきな頭脳で、古い葉巻の吸い殻を噛みながら歩いていました。彼は常に、何かを置き忘れたような表情をしていて、それが何なのか、どこに置いてきたのかさえも思い出せないようです。実際、彼が成功したのは、頭が良くても、いかにも頭が悪いように振る舞っていたからです。彼があまりにも無力に見えるので、犯人は、彼に事件を解決させてあげたいとすら思うようになったのでしょう。

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自分のエゴに支配され、洗練されたネゴシエーターのように見える交渉者は、交渉で不利になります。それは次のような人です。

●決断が速く、考える時間を必要としない人
●誰にも確認せずに進めてくれる人
●専門家に相談する必要がない人
●譲歩を懇願しない人
●上司の指示に左右されない人
●交渉の進捗状況をメモに残して、頻繁に照会する必要のない人

一方、パワーネゴシエーターは、愚かに見える重要性を理解しているので、次のような選択肢を持っています。

●承諾の危険性や、追加の要求をすることで得られる可能性について十分に考えることができるよう、熟考する時間を要求する
●委員会や取締役会に確認する間、決定を延期する
●法律や技術の専門家が提案を検討するための時間を要求する
●追加の譲歩を要求する
●グッドガイ/バッドガイ(相手の味方や敵対者として、その都度、条件に応じて振る舞うこと)を使い、対立することなく相手に圧力をかける
●交渉内容の記録を見直すという名目で、考える時間を取る