ドライアイには「目を温める」
どちらがいいかは、目の症状や状態によって異なります。まず、冷やすほうがよい場合から先に説明しましょう。冷やすほうがよい場合は、目が腫れているとき、目にかゆみがあるとき、そしてぶつけたときなどです。腫れやかゆみは、患部を冷やすことで症状を抑えることができます。そうした不調を感じたら、温めるのではなく冷やすといいでしょう。ただし、氷や保冷剤を直接当てるなどすると、凍傷になる危険性もあるのでタオルなどで巻いて当てることが大切です。
一方、温めたほうがよい場合は、疲れ目やドライアイなどの慢性の症状が出ている場合です。温めることで疲れ目が改善するというデータもあります。
ドライアイは、目が乾くというイメージがあるため、涙の量が不足して起きると思われがちです。しかし、多くの場合、問題になっているのは量ではなく、実は涙の質なのです。まぶたにはマイボーム腺という脂を分泌する場所があります。そこが詰まると脂が分泌されず、涙が水分だけとなり乾燥しやすくなります。それを防ぐ意味で温めるのです。脂は冷たいと固まって温かいと溶けます。その特性を考慮すると、温めたほうがよいというわけです。
具体的に家庭でできる簡単な方法をご紹介しましょう。市販の道具を使用する方法もありますが、蒸しタオルを使えば手軽に行えます。
お風呂に入ったときに、タオルを浴槽の湯に浸し、軽く絞ります。目を閉じてタオルをまぶたの上に置いて、タオルが冷えたらまた湯につけるということを、5分程度繰り返し行います。
長くお風呂にいたくない場合は、水で濡らして絞ったタオルを電子レンジで40秒ほど(機種による)温めて、40度程度にして使用するという方法もあります。
「絵を見るだけで視力がよくなる本」に根拠なし
一般的に、視力は「裸眼視力」をさします。つまり、眼鏡をかけていない状態の視力のことをいいます。
裸眼視力は、眼鏡やコンタクトレンズで“矯正”することはできます。しかし、裸眼視力そのものを“改善”する方法は大規模に研究されたものはなく、小規模な研究のものにとどまります。
絵を見るだけで視力がよくなるという本も出ていますが、その効果には、はっきりとした根拠はありません。頭のつぼを押すと視力がよくなるという説も科学的な根拠に乏しく、危険を伴います。
「遠近トレーニング」といって、遠くや近くを交互に見る運動は、一時的に目のピント調節機能が麻痺したときなどには効果が出る可能性があります。唯一、「ガボール・アイ」という縞模様を見る方法にはある程度のデータがあるといえます。
とはいえ、まずは医学的な方法を検討して、それでも困難な場合などにあくまでサポートとして行うくらいにとどめておくほうがよいでしょう。