日本企業の部長は韓国のディレクターに比べ年収で明らかに見劣り
韓国と日本の類似の職種・職位の年収を比較すると、それほど大きな差が開いていないことがわかる。
非管理職の担当者レベルでは日本がやや高いが、管理職クラスになると、業界・職種に限らず韓国のほうが高いことがわかる。とくに部長・ディレクタークラスでは、下限年収も含めて韓国が上回っている。
例えばITサービスの営業職では、非管理職の年収は日本と同程度であるが、管理職以上では下限・上限年収ともに日本を上回っている。それだけ韓国では非管理職と管理職の給与格差が大きいことを示しているが、逆に言えば日本企業の部長は韓国のディレクターに比べて年収では見劣りするということだ。
前出のOECDの平均賃金比較には非正規を含めた全体の比較であるが、正社員のホワイトカラー職種の比較でも韓国が日本に肉薄し、職種・職位によっては上回っていることがわかる。
しかもアメリカをはじめとするG7と韓国は2000年以降、徐々に賃金が上昇にしているのに対し、日本の賃金は停滞状態が続いている。このままだと正社員の給与でも韓国に水をあけられることは間違いないだろう。
それだけではない。図表1(ジェイエイシーリクルートメント調査)はアジア各国の2013年以降の中途採用時給与の上昇率を示したものだ。
コロナ禍で2020年は各国とも上昇率は落ち込んでいるが、2013年以降、各国とも高い水準で上昇している。インド、ベトナム、中国は8~10%(2020年除く)、日本は2013年以降、1~2%程度の上昇率であるのに対して、韓国は4~5%の上昇率だ。
すでにシンガポールの給与水準は日本を上回っている。日本の凋落や韓国にも追い抜かれつつある状況は、ある意味で日本人が見たくない真実かもしれない。しかし諸外国に比べて低い日本の労働分配率(50.1%=2019年、OECD調査)を受け入れているのも日本人である。
日本の給与上昇率の低迷状態がこのまま続くと、日本企業で働くことの優位性がなくなり、いずれ日本人もアジアに出稼ぎに行く日が近いかもしれない。