ほとんどの人は肉体関係を誘ってくる

綾乃さんは食事のとき、男性の話をおもしろがって聞いている。食事はそれなりに盛りあがる。食事デートを繰り返していれば、関係を進展させようと誘ってくる男性も現れる。肉体関係の誘いは丁重に断っている。「いまのところ、嫌な雰囲気になったことはないです」という。

中村淳彦『パパ活女子』(幻冬舎新書)

「話が普通におもしろい人もたくさんいて、なので、ご飯食べるのは全然苦じゃない。肌汚いなとか、ちょっと不潔だなとか思いながら食べてます。おじさんの話がおもしろかったことはたくさんで、たとえば飲食経営してる人がフランスに10年間留学して、フランス映画の日本版を翻訳したとか。皇族の誰かと同級生で、皇族の裏話とか。自分の会った女の子の話とか。話は、おもしろいです」

肉体関係は、食事中か、終わって店からでたときに誘われる。「もうちょっと仲良くなってからにしたいです」と先延ばしにしたりしてかわし、ホテルには行かないようにしている。

「大人って言葉は、エッチするって意味みたいで、大人しようっていわれます。でも、ここで私がうーんとか渋い顔をしたり、それは考えてないです、とか返しちゃったら、関係は終わっちゃうじゃないですか。だからもっと親しくなったらとか、次の次くらいにはとか、引っ張れるところまで引っ張って、穏便に断っています。もうダメだってなったら切れるように準備しています。男性はだいたい40代後半の人で、ほとんどの人は肉体関係を誘ってきます」

「おじさんってお金があるんだなと思って見ています」

最後に男性は、どうして綾乃さんに会いたがるのか、パパ活をすると思うか聞いてみた。

「みんな結婚してるんですよ。だから普通に若い人としゃべりたいのかなって。若い人と一緒にいたいか、若い人とエッチしたいとか。しゃべるだけに価値があるのかわからないけど、普通に楽しそうにしているし、まあいいかって。家庭があっても奥さんと仲が悪くて、お金を払ってもしゃべれる場が欲しいとか、わからないです。でも、おじさんってお金があるんだなと思って見ています」

パパ活をしても食事だけ、関係を進めることはできない。収入はせいぜい月5万円~7万円程度でアルバイトの補塡ほてんもできないくらいの金額だ。半期に50万円がかかる学費の問題はまだ解決していないが、大人をするのは「無理だと思う」といっている。

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