友だちから「パパ活やれば?」といわれ…
給付奨学金は家計基準などの条件が厳しく、貧困に近い家庭でないと該当しない。貸与奨学金も親の年収の上限額があり、簡単には借りられない。親の収入だけでなく、資産の報告など、手続きが複雑で親の全面協力がないと申し込みすら困難なのだ。すべての親が子どものために協力するわけではなく、ヒドイ家庭になると、親が子どもの奨学金を使い込んだり、ピンハネしたりする。親の奨学金着服が理由で、在学中や卒業後に風俗で働く女性も珍しくない。
いまの大学生は資金繰りに追われる中小企業の経営者と同じ境遇であり、悩みなく学生生活を謳歌しているほうが少数派だ。
「お母さんは看護師なんだけど、これ以上、負担するのは難しいって。私もカラオケボックスで朝から晩まで、夜勤もしたりで働きづめだったけど、コロナでそのバイトもできなくなっちゃいました。もうパニックになって友だちに相談したら、パパ活やれば? っていわれたのがキッカケです」
それまでわからなかったが、大学でパパ活をやっている女の子はたくさんいた。学部のクラスにも、ゼミにも、サークルにもいた。オンラインでパパを探す方法を教えてもらって、綾乃さんはそのままパパ活女子になっている。
「うちの大学ってすごく金持ちみたいなイメージがあるけど、全然そんなことなくて、けっこうみんな学費をどうしようって困っているんです。友だちに相談したら、同じ悩みがあるからすごく話が早くて、解決策はパパ活しかないっていわれました。パパ活をはじめたのは2年の12月から。おじさんとご飯食べるだけで、本当に1万円とか2万円をもらえてビックリしました」
「肉体関係はどうしても無理です」
パパ活で知り合う男性は40代後半が中心、上は60代。男性の職業は有名企業のサラリーマン、飲食店経営、中小企業の社長などで、待ち合わせ場所に行って一緒にご飯を食べるだけだった。
「関係の進展なしに3回普通にご飯だけ食べたら飽きられるって、友だちからいわれました。それはそうかもって考えたけど、進展させるのは難しいです。そういう気が起こらないというか」
パパ活をはじめに勧めてきたサークルの友だちは、男性を厳選しながら大人の関係をしている。ゼミの友だちは恋愛するフリして、食事デートだけを繰り返していた。綾乃さんは一緒にご飯を食べて、ごちそうさまでしたと挨拶して帰ってきているだけ。なにも考えていなかった。大学で友だちに会うと、パパ活の報告をする。みんな口を揃えて「それじゃあ、長く続かないよ。お金にもならないよ」という。
「パパ活で肉体関係になるって想像したけど、無理です。どうしてもできないと思って、それはしてません。やっぱり、元々カッコいい人が好きだし、細い人が好きなので、おじさんは無理です。おじさんはプロフィールには清潔です、とか書いているけど、ほとんどちょっと小太りで清潔感は感じられない。服が汚いとか、ダサすぎるとか、肌も汚いし」