一日あたりの生活費は、30年前の75パーセント減
大学や専門学校で勉強をする若者たちは、経済的に苦境に陥る要因がこれだけ重なっている。中高年や高齢者が学生だった頃と比べると、なにもかもが違うのだ。自分たちの利益の皺寄せが若者に行き、孫や娘を夜職や売春、パパ活女子に向かわせてしまっている。公表されているデータだけでも、若者たちの厳しさは読みとれる。
令和元年の民間給与実態統計調査では、給与所得者の平均年収が436万円、国民生活基礎調査では全世帯の所得平均値は552万3000円。さらに家計の金融行動に関する世論調査によると、40代の平均貯蓄額は694万円、中央値が365万円となっている。
そのなかで、私立大学は初年度納入金120万円~150万円、年間学費80万円~110万円の支払いを求める。そんなお金は払えない、または払いたくないという状態だ。
結果として未成年の学生本人が負債を背負う奨学金が流行し、日本学生支援機構の大学奨学金の受給率は大学で47.5パーセント、短期大学で55.2パーセント(平成30年度、日本学生支援機構調べ)と全学生の約半数となっている。家庭に高額な学費の納入が迫られる一方、親世代にはリストラの嵐が吹き荒れている。来年はどうなるかわからない不安定な状況で、いまは収入があっても子どもの学費を負担したくないという親が増えているのだ。
東京私大教連が毎年自宅外通学者への仕送り額の調査をしている。2020年は月8万2400円と過去最低を更新し、仕送り額から家賃を除いた一日あたりの生活費は607円となった。ちなみに親世代が大学生だった1990年は、一日あたりの生活費は2460円である。30年前の75パーセント減という衝撃的な数字となっている。女子学生たちは若さや女性性を換金しないと学生生活を送ることができなくなっているのだ。
パパ活という「自助」
女子学生たちが続々と参入するパパ活は、お父さんが娘の世代に恋愛を求めて肉体関係となったらお手当をあげる、という市場だ。一歩引いて少しマクロな視点で眺めると、日本はものすごく異常なことになっている。
日本は娘や孫に売春やパパ活をさせる、これは普通ではない事態だ。そして祖父世代はブルセラ少女を買い漁り、父親世代はパパ活女子とセックスを含めた交際をして喜んでいる。どうしてこんなことが起こるのか考えると、国民に指針を与える国が、娘や孫の売春やパパ活を推奨している可能性に思い当たる。売春は違法なので望ましくないが、富の再分配がされるパパ活はポジティブに考えているとしか思えないのだ。
2020年9月16日に自由民主党の菅義偉氏が「自助・共助・公助、そして絆」と国民へのメッセージを掲げた。そして、第99代内閣総理大臣に指名された。メッセージの内容は、まず自分でやり、できなかったら家族や地域が助け合って支えよう。本当の最後の最後にできなかったら、国がセーフティネットで守るという社会像だ。このまず自分でやる「自助」が具体的な現象となったのがパパ活だ。