②女性のほうが子育てや家事を多くしている
日本では未だに「家族の世話をするのは女性」というのが、暗黙の了解になっていますね。実際、OECD(経済協力開発機構)が2020年にまとめた生活時間の国際比較データ(15~64歳の男女を対象)によると、日本女性の無償労働時間は224分で、日本男性の無償労働時間はわずか41分で、女性のほうが極端に長いことがわかります(内閣府男女共同参画局)。
女性には母性本能があるから子供を産んだ途端に育児法がわかってしまうと誤解している人がいますし、子供に何か起こったらなんでも「母親の育て方のせい」と言われてしまいがちで、お母さん自身もそう思い込んでしまう場合があります。
でも、特に産後すぐの重労働と睡眠不足は、当然メンタルヘルスによくありません。加えてホルモンの影響も大きいため、産後1年までの妊産婦の死因は自殺が最多だという研究結果があります(国立成育医療研究センター「人口動態統計(死亡・出生・死産)から見る妊娠中・産後の死亡の現状」)。もっと男性も子育てや家事をするべきです。
そもそも子供はあっという間に大きくなりますから、「ママ、ママ!」、「パパいっしょにあそぼう!」などと言ってくれるのは、かけがえのない貴重な時間。お父さんだって、子供と一緒にいたいのに日本の長時間労働が、それを許さないという側面もあるでしょう。実際、先述したOECDの調査によると、日本の男性の有償労働時間は452分と長く、子育てや家事をしたくてもできない状況もあることが考えられます。
③女性のほうが仕事において不利である
「女性は結婚すると、家事・妊娠・出産・子育てなどのライフイベントを1人で背負う義務があるので仕事をおろそかにする」というバイアスを持っている人たちがいるため、女性は採用段階から不利です。2012年にアメリカで、全く同じ経歴のジョンという男性名の履歴書、ジェニファーという女性名の履歴書でどちらが有利かを比較調査したところ、男性名のほうが評価が高く、提示された年収が4000ドルも多かったという報告があります(サイエンスポータル「過小評価続く女性研究者 米国でもマチルダ効果歴然」)。
日本も同様で、男女間の賃金格差はいっこうに改善せず、母子家庭の貧困の大きな原因です(プレジデントオンライン「「世界でワースト2位」日本の男女賃金格差が全然埋まらない理由2つ」)。
このように、能力とは関係なく女性は男性より賃金が少ないので、子供を持つと女性が仕事を辞めたり時短にしたりして働かざるを得ないことが多々あります。そもそも、就職以前に教育の機会が平等に与えられないこともありますし、妊娠や出産の経過が順調でなくて仕事を辞めざるを得ないこともあるでしょう。
これは社会構造が問題なのに、女性の能力のせいや自己責任にされたりするのでは、女性が苦しいばかりです。これでは安心して子育てできるわけがありません。