所得税がかからず、物価や家賃も低め

2.所得税ゼロ

テキサス州では、法人所得税、個人所得税がともにゼロだ。税収を補うため、フランチャイズ税や売上税、固定資産税が、比較的高めに設定されているが、カリフォルニア州などと比べれば、総じて税負担は軽い。

3.割安な生活環境

そのうえ、物価や家賃などの生活費も比較的低めであり、暮らしやすい割安な生活環境があるといえる。もっとも、夏は暑く、冬は寒くなるなど気候は厳しいようだ。なお、ハワイやカリフォルニア、ニューヨークと比べれば物件価格は安く、かつ物件価格の上昇率を見込んで、住宅不動産の建設も盛んであることから、オープンハウス、東急リバブル、リスト サザビーズなど日系の不動産専門業者もテキサスに拠点を設け、日本人向けに米国住宅不動産投資を仲介し実績をあげているという。

冒頭に紹介したテスラは、2003年の創業以来、本社と米国工場をシリコンバレーにおき、発展してきた。そのテスラが本社移転を決断した直接的な要因は、シリコンバレーにおける、物価高と住宅不足に起因するデジタル人材などの採用難といえる。オースティンでの株主総会後の質疑応答において、マスク氏は、シリコンバレーでは、「人々が家を買うのも、遠くから(工場などに)通ってもらうのも大変だ」と指摘している。逆にいえば、こうした問題は、テキサス移転で大きく改善されるのだ。

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好条件がさらなる人口増加を生む好循環

こうした、①交通の要所、②所得税ゼロ、③割安な生活環境、といった好条件もあって、テキサス州での人口増は今後も続く見込みだ。バージニア大学人口動態研究グループの推計では、テキサス州の人口は2010年の2515万人から2040年には4002万人へ59.1%増えると予測されている。同期間の全米平均が22.9%で、テキサス州は50州中、増加率で1位になるという(ヒューストン日本商工会、在ヒューストン日本国総領事館、JETROヒューストン「テキサス経済概況」)。