くら寿司、牛角、丸亀うどんも出店

IT企業や製造業だけではない。実は、日本の飲食店も多数進出しているのだ。

くら寿司は、なんとテキサス州内に9店舗も展開している。そのほか、牛角、丸亀製麺、ペッパーランチ、陣屋などもある。

その多くも、同じように最初はカリフォルニアなどで店舗展開したあとに、テキサスに進出しているのだ。

例えば、東京やロスアンゼルスなどで焼肉店「まんぷく」などを展開するテイクファイブは、今年6月に「Manpuku Dallas(まんぷく ダラス)」をテキサス州ダラスにオープンしている。同社米国法人の井伊晋也CEOによれば、「当初シリコンバレーなどへの新規出店も計画したが、より成長性あるテキサスを新天地に選んだ。開業以来、予約で埋まりお陰様で繁盛している」という。

なお、ヒューストン総領事館によると、テキサス州の在留邦人数は1万2205人(2020年10月1日現在)となっている。

焼肉
写真=iStock.com/JackJack1965
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テキサスに企業が集まる3つの理由

一体、なぜテキサスに企業が集まるのだろうか。テキサスは、もともと、人口・面積・経済力ともに、カリフォルニア州に次ぐ屈指の規模を誇っている。それに加えて、①交通の要所、②所得税ゼロ、③割安な生活環境という条件から人口が増加し、企業進出が相次ぐことで、さらなる雇用や経済成長を生むという好循環が生まれているのだ。ひとつずつ説明していこう。

1.交通の要所

テキサス州は、ダラス、ヒューストン、サンアントニオ、オースティンといった大都市を抱え、面積ではアラスカ州に次ぐ広さで、日本の約1.8倍。人口も2914万人(2020年)を数え、カリフォルニア州に次いで全米2位の規模だ。

米国東海岸と西海岸の中央に位置し、メキシコと国境を接しており、全米のみならず、南北アメリカ、アジアとの物流の要になっている。

ダラス・フォートワース国際空港には、アメリカン航空の本社があり、ヒューストンのジョージ・ブッシュ・インターコンチネンタル空港はユナイテッド航空のハブ空港だ。また、ヒューストン港は、全米2位の取り扱い貨物量を誇る。日本からは、ダラス―東京間は日本航空、ヒューストン―東京間は全日空の直行便が就航している。全米各地との時差が少ないのでリモート会議が容易なのも今や大きなメリットだ。

なお、ダラス―ヒューストン間の385キロメートルを約90分でつなぐテキサスの高速鉄道計画には、JR東海が中心となって技術支援を行っている。これは2026年の開業を目指している。