感染恐怖のストレスで適応障害になる場合も

新型コロナにしても、今は予期不安が強いために「感染しないためにはどうしたらいいか」といったことばかりが言われています。しかし、「感染した時にどの程度の医療を受ければいいか」という発想があったならば、自粛、自粛とばかり言わずにもう少し自由な活動ができるのではないでしょうか。あるいは、もっと受け入れ施設を増やすという政策が取れたかもしれません。

さらに言えば、新型コロナにかかった時のことを考えていないから、「普段から免疫力を上げよう」「免疫力を上げておけばたとえ感染しても重症にはなりにくい」といった発想が出てこないのです。

和田秀樹『適応障害の真実』(宝島社新書)

ウイルス性の病気はインフルエンザであろうが風邪であろうが自分の免疫力が強ければさほど悪化はしないのです。新型コロナについても普通に考えれば、感染したところで9割の人が無症状なのです。つまり普段から免疫力を上げておけばほぼ平気で済ませられる病気なのです。

高名な免疫学者の方に聞いた話によると、自粛生活はかえって免疫力を下げることになるそうです。新型コロナにかかったとしても免疫力を上げておけば大丈夫だという発想を持たずに、ただただ「感染してはいけない」と思い込んでしまうと、「目から感染するかもしれないから目もこすれない」「他人が使うものも触れられない」と普段の生活から不安だらけになってしまいます。しかし、感染を恐れるばかりに免疫力まで下げてしまい、かえって重症化しやすくなることもあるのです。

不安ばかりが膨らんでしまうとそれがストレスとなって、適応障害など精神疾患の要因ともなりかねません。

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