買うことはできても、売る難易度は高い

首都圏の億ションの中古取引の97%は都区部に存在する。都区部内のシェアが38%でダントツのトップなのは港区である。億ションを買って損をしたくないなら、港区にしておいたほうがいい。億ションは買うことができても、売るのは難易度が高いからだ。

江戸川区で億ションの取引件数はゼロだ。1億2000万円で買ったのなら、2000万円の損失は確定したことになる。先日、個人の相談で北区にある1億円以上の新築購入の相談を受けた。その周辺を調べると、中古の成約価格で最も高いものでも9000万円を切っていた。

そこまで損失する覚悟が必要なことは伝えたが、その方の実家と通勤先の都合から、購入を決断された。その方の年収が高く、許容範囲の損失だったが、誰でもが取れる決断ではない。

億ションが多い区の2番目は渋谷区で16%となる。港区と渋谷区で54%となり、過半数を占める。住宅地の中心はこの2区だと思ったほうがいい。ちなみに、オフィスの床面積は千代田区・中央区・港区の都心3区で過半数を占め、都心5区(新宿区・渋谷区を追加)で3分の2に達する。

この5区以外はオフィスでは二等立地ということになる。億ションで都心5区のシェアは73%となる。オフィス以上に集中しているのが実態なのだ。

湾岸エリアの億ションは厳しい

それだけではない。例えば、港区であればどこでもいいわけではない。山手線の東京湾側のいわゆる「湾岸エリア」では億ションは厳しい。渋谷区でも山手線外側の初台駅・参宮橋とかでは無理だ。こうした立地は相場価格が上がろうと取引されるシェアは変わらないのだ。

写真=iStock.com/Free art director
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コロナ禍で外出が控えられたからこそ起きた「コロナ特需」が終われば、モデルルームは閑古鳥が鳴いてもおかしくない。マンションの売れ行きがいい時は通常長くない。売れていないときに売り切るすべが必要なのだ。その意味で、億ションの立地は絶対に間違えてはいけないのである。

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