新たな市場を生むことでイノベーションスタックが生まれる
ところが時代のレンズを逆転させれば、歴史書は成功した起業家の名前だらけだ。100年前に千人のイカレた人が何かを試したなら、成功した3人は知らぬ者のない存在となる。そして彼らは万人のために可能性を拓いてくれたので、みんなその人たちについてあれこれ書きたがる。それに、その連中は勝ち目のない戦いに勝ったので、お話としてもおもしろくなる。
どんな産業を見ても、このパターンは登場する。起業家が、市場のないところで旅を始める。その人物は一連の問題を解決せざるを得なくなって、それがイノベーションスタックになる。そのイノベーションスタックは、先行者利益とあいまって、さらにいくつかの手口ともあいまって、世界を変える企業を創り出す。
でも時代をさかのぼってみると、あまりにイノベーションスタックの事例が多すぎたので、ぼくは圧倒された。今やデータが少なすぎるどころか、多すぎる。問題はよい事例があまりに多い中からどれを選ぶか、というものになった。おかげで退屈な産業からのワクワクする例も選べるようになった。
何か対象を研究したければ、背景があまり派手でないほうがいい。あれこれドラマや爆発がないほうが、本当の影響が見やすくなる。そこで次の事例としては、歴史上で最も退屈な産業を検討してみよう。
1.この劇画はjimmckelvey.comにある。お望みならダウンロードして、ポップコーンを持ってくれば、この章の残りは飛ばしてくれて大丈夫。
2.これは9.11テロ後に空港のセキュリティが厳しくなる以前のことだ。
3.詳細はjimmckelvey.comに載せておくけれど、写真はなしだ。
4.Gerald Nash, A. P. Giannini and the Bank of America (Norman: University of Oklahoma Press, 1992).
5.ジャック・ドーシーは正式な資格を持ったマッサージセラピストだ。
6.Wild West, October 2016, p.22.
7.Marquis James and Bessie R. James. The Story of Bank of America: Biography of a Bank (Washington, DC: Beard Books, 1954), p.64.
8.The Story of Bank of America, p.83.