バンク・オブ・イタリーのイノベーションスタック

1.「小者」に注目

A・Pは「我々の目的は、小口預金者と借り手の利益に専念する。我々は、どんなに少額だろうと貯金を定期的に預金してくれる賃金労働者や中小企業者を、当行にとって最も価値ある顧客と考える」7。でも多くの「中小ビジネスマン」はマン(男)ではなかったので、どうしても必要だったのが……。

2.女性のための銀行

アメリカ合衆国憲法修正第19条が女性に参政権を与えてから、バンク・オブ・イタリーは全国初の女性向け銀行、女性銀行部門を開設した。これはサンフランシスコのパウウェル街にある、ジャンニーニの新しい銀行ビルの2階にあった。アメリカで初めて、女性は自前の口座にアクセスできて、夫に口出しされずに自分の財務を管理できるようになった。でもこうした新しい男女の顧客はきわめてケチだったから、どうしても必要になったのが……。

3.低金利

後にスクエアがやるのと同様に、バンク・オブ・イタリーは手数料を同輩たちよりはるか下に設定した。競合銀行は金利12%だったのに、バンク・オブ・イタリーは7%だった。これは融資残高の激増を招くと同時に、預金者集めも必要となった。またこれは、もっと慎ましく責任ある顧客を集めることになった。A・P曰く、「10%だの12%だのを課したら借り手を倒産させることになる。低金利のために戦う人物こそ、当行がお金を貸したい人物だ」8。でも低金利だと量を稼ぐ必要があるので、どうしても必要となるのが……。

銀行で唯一、広告を打った

4.直販部隊

バンク・オブ・イタリーは、営業マンを戸別訪問させ、あらゆる結婚式、教会ピクニック、洗礼式、ご近所の社交イベントに送りこんだ。当時の銀行は積極的にサービスを売り込んだりはしなかったけれど、やるべきだったのかもしれない。というのもこれは大成功したからだ。直販部隊の威力は、後年になってバンク・オブ・イタリーが別の銀行を吸収したときに最もはっきりあらわれた。口座の数が1年で倍増したのだ。

でも営業マンは、人々がこちらの商品について聞いたことがあるほうが成果を挙げられるので、どうしても必要になったのが……。

5.広告

当時他に広告を打つ銀行はなかったけれど、バンク・オブ・イタリーはその初年度から人々に訴えかけていた。ある広告はこんな具合だ。

1ドル――大したお金ではありません――でも預金する価値はあります。1ドルから預金口座が開けて、それが貴方の財産の始まりになるかも。この瞬間に1ドルお持ちなら、考えなしに使ってもよいのですが、当行においでいただいて預金してはいかが? 他に預金できる資金とあわせて利子を稼いでくれます。

小口預金者に広告しても、手持ちの少額資金で口座を開けなければ意味がないので、どうしても必要になったのは……。