「やめる決断」と「受けない決断」が重要
これまでやっていたことをやめる決断や、重要性が低いためタスクを受けないといった決断をすれば、現場のメンバーへの負荷は大幅に減ります。このことを5%リーダーはよく理解しています。
そのため、「進むぞ!」と決断するのと同時に、「代わりにこっちは止める」というトレードオフをしています。「やる覚悟」と「やめる覚悟」を持っているのが5%リーダーの特徴といってよいでしょう。
しかも、彼らは一か八かの思い切った決断をしません。
5%リーダーへの度重なるヒアリングを通じて、意思決定は早いものの、「少しでも望みがあればそれに賭ける」といった博打的な決め方をしないことがわかりました。成功確率を上げようとするより、失敗確率を下げようとしているのです。
変化の激しい時代には、成功テンプレートをそのままマネするのではなく、過去に失敗したケースの発生原因を掘り下げて把握し、同じ失敗を回避することが結果的に成功に近づくと、5%リーダーは理解しています。そのため、失敗確率を下げられるようなオプションを選ぶ傾向にあるのです。
それは「逃げ」ではありません。何もしないでただ待つより、積極的に挑戦し、失敗確率を下げて前へ進めば、成功に近づくことができると理解している5%リーダーが多いといえます。
「失敗確率を下げる」と発言をしたのは、5%リーダーで291人、一般の管理職は4人でした。成功例を真似することに注力している一般の管理職は891人、5%リーダーは3人でした。
成功例を真似して成功を目指す一般の管理職と、失敗例をもとに発生原因を追求し同じミスを起こさないように失敗確率を下げていく5%リーダー。成果を出し続けているのは5%リーダーですから、失敗確率を下げていく戦術の有効性がわかります。
【習慣⑤】67%が「情報」より「感情」を共有する
5%リーダーの特徴は、仕事そのものよりも「仕事をしている人」に強く関心を持っていることです。
メンバー個々の能力や価値観に強い関心があり、メンバーのベクトルを1つにして組織の目標を達成しようとするのが5%リーダーです。
突出した成果を出し続ける5%リーダーは、一見ドライに感じられる面もあるかもしれません。しかし、実際に話を聞いてみると、人付き合いはウエットで、宴会や会社行事では率先して盛り上げる人が多くいました。
メンバーに対して興味・関心を持つことは、人間関係を構築するうえで有利に働きます。
人間同士のことなので、もちろん「合う・合わない」はあります。「好き・嫌い」もあるでしょう。しかし、相性を超えて、メンバーの「できること・できないこと」に関心を持ち、ほかのメンバーの「できること・できないこと」を組み合わせることで、最大限の効果を引き出そうとしています。
そのため、5%リーダーはまず、メンバーを把握するために対話の頻度と、相手に話してもらう時間を増やします。
メンバーとの対話では、単純に結果を共有してもらうだけではインサイトを得ることができないので、その結果が導き出された原因を掘り下げていきます。
チーム全体で成果を出し続けるためには、心理的要因も重要であることを5%リーダーは理解しています。匿名のwebアンケートで、5%リーダーの67%が「情報よりも感情共有を重視する」と答えていました。一般の管理者の約20倍です。