各企業で「トップ5%」の評価を受けるリーダーたちに共通する“意外な要素”を明らかにした『AI分析でわかった トップ5%リーダーの習慣』が話題だ。調査・分析を主導したクロスリバー代表の越川慎司氏は「彼らは社内で変人と言われるくらいに、周囲と違った行動をすることがあります。しかし、最も変わっていたのは、性格や言動ではありませんでした」と語る。AIが解き明かした驚きの実態とは——。(第2回/全2回)

※本稿は、越川慎司『AI分析でわかった トップ5%リーダーの習慣』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。

【習慣①】59%は「歩くのが遅い」

2020年1~3月期にかけて、5社に協力してもらい、オフィスに定点カメラを設置して「トップ5%リーダーの習慣」について調査しました。

デスク上はもちろん、人の流れが活発なフロアの出入り口付近、オープンスペースにwebカメラを設置して、人々が働いている様子を録画しました。そこで明らかになったのは、移動するスピードの違いです。

厳密に移動速度を測ったわけではなく、目視ではありますが、5%リーダーの59%が明らかに、平均的なスピードに比べてゆっくり移動していました

「人事評価トップ5%社員」はせっかちで、歩くスピードは一般社員より速いという傾向がありました。そこで、「5%リーダー」もやはり歩くスピードが速いのかと思いきや、まったく違いました。

また、一般の管理職で他者よりゆっくり歩く人は38%でしたから、5%リーダーは管理職の中でも相対的にゆっくり歩いているといえます。

5%リーダーに直接ヒアリングしたところ、どうも自覚はないようです。しかし、別のアンケート調査で、「意図的に時間と気持ちの余裕をつくるようにしている」と答える人が58%いたので、それが歩くスピードに反映している可能性が考えられます。

5%リーダーは階段で移動する

5%リーダーは、自分が仕切る会議が時間内に終わることを厳守していました。会議中に時間を確認する回数は一般の管理職より2.8倍多く、予定より早く終わることもありました。

階段をのぼる人
写真=iStock.com/Nattakorn Maneerat
※写真はイメージです

会議改革にも取り組み、「60分の定例会議を45分に設定」「意思決定の会議は参加者数を絞る」など、社内会議の量と質を改善しようとしていました。そうした取り組みを行う5%リーダーは、一般管理職の3倍以上でした。

面白いことに、5%リーダーはエレベーターをあえて使わず、階段で移動する人が多いのです。階段を速く駆け上がる一方、オフィスフロアや廊下はゆっくり歩いています。

眉間にしわを寄せてフロアを急いで移動する上司より、余裕をもってゆっくり歩いている上司のほうが、「今ちょっといいですか?」と声をかけやすいですよね。

5%リーダーは、メンバーから気軽に声をかけられることをよしとしていますから、「あえてゆっくり歩いて」話しかけられる間を作っているのかもしれません。