各企業で「トップ5%」の評価を受けるリーダーたちに共通する“意外な要素”を明らかにした『AI分析でわかった トップ5%リーダーの習慣』が話題だ。調査・分析を主導したクロスリバー代表の越川慎司氏は「調査前は、交渉力があってメンバーを力強く引っ張っていく姿をイメージしていましたが、まったく違いました」と語る。AIが解き明かしたその驚きの「答え」とは──。(第1回/全2回)

※本稿は、越川慎司『AI分析でわかった トップ5%リーダーの習慣』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。

AIが丸裸「人事のプロも発見できない」真実

AIの強みは、膨大なデータを瞬時に解析すること、そして人間が見つけ出せないインサイトを教えてくれることです。今回、クライアント企業の3556人の管理職を徹底調査・分析したところ、人事のスペシャリストが発見できなかったトップ5%リーダーの特徴をAIが次々発見してくれました。

その驚きを読者のみなさんに共有しようと1冊にまとめたのが、『AI分析でわかった トップ5%リーダーの習慣』です。

いま、「テレワークだとうまく管理ができない」「コロナで慌ただしい中で成果を出すのは難しい」など、できない口実や愚痴ばかりを言う管理職が増えています。

たしかにこんな大きな変化がやってくるとは誰も思いませんでした。でも、変化に対応できず苦しんでいる上司を見て、メンバーはどう思うでしょうか。

「自分がしっかりと支えなきゃいけない」と立ち上がるメンバーがいたらラッキーです。「上司がダメだとダメな部下が育つ」と言われることもあります。しかし、それは結果論であって、たまたま優秀な素地を備えたメンバーがいたからでしょう。

床に座り、ストレスをかかえている人
写真=iStock.com/GlobalStock
※写真はイメージです

「他責型」の人はアウト

成果を出し続ける5%リーダーは、弱音は吐きますが、他責にはしません。アウト・オブ・コントロール(自分では制御できない)なことに不平不満を言っても、それはエネルギーの浪費でしかないからです。また、そんな姿を周囲に見せれば、同調してメンバーのモチベーションが下がってしまいます。

5%リーダーは、インナー・サークル志向です。変わりゆく外部環境の中で、自分がコントロールできるインナー・サークルの中で何をすべきかを考え、すぐに実行します。

また、優秀なメンバーがたまたま出てくることを待つのではなく、出てくるような仕組みを整えます。

5%リーダーは、自らがもたらした結果のすべてが実力だとは思っていません。「運がいい」と口にすることが、5%リーダーは一般の管理職よりも4.3倍多かったのですが、これは、運と実力の差をわきまえている、ともいえるでしょう。

コントロールできないアウト・オブ・コントロールの領域では、ラッキーなことも逆風も起きます。5%リーダーは、逆風下でマイナスのインパクトがないように、しっかり備えを進めています。チーム内でペアを組み、一方が何かあったときに、もう一方が支える仕組みを作っていました。