そもそもなぜトップ5%なのか?
私は、約20年前に大手通信会社の人事部に配属されてからというもの、一貫して人や働き方に関心を持ち、深く掘り下げてきました。
多くの会社の評価査定はS・A・B・C・Dなどの5段階評価で、上位10%くらいの人が最上位評価Sを得ています。そして、トップ評価の中でも突出した成果を残している、いわゆる「SS級」の方がいます。
SS級の人は、1年だけ突出した成果を上げているのではなく、突出した成果を出し続けています。売上目標を3年連続で120%達成していたり、社内異動をしてもまったく評価を落とすことなく高いパフォーマンスを維持しています。
多くの企業が成果主義のジョブ型雇用にシフトする中で、「人柄」や「上司に好かれる」といった評価基準ではなく、安定して最高評価を受け、社内外から認められる人こそ各社の人事評価トップ5%の人材であり、トップ5%リーダーです。
暗黙知から可視化されたノウハウへ
テクノロジーの進化により、いまでは働く人々の実像が「見える化」されてきています。
言動や成果物がデジタルデータとして蓄積され、満足度や働きがいなど、感情も数値で見られるようになりました。ITツールを使って容易に1対1の対話(1 on 1ミーティング)ができるようになり、360度フィードバックや、マネージャーフィードバック(上司への意見)も行われるようになりました。
暗黙知だったものがより可視化され、定量的に測ることもできるようなると、パターン化ができます。メールやチャット、電話やオンライン会議などがデジタルデータとして蓄積されます。
そうしたビックデータをAIサービスと専門家で分析すれば、「突出した成果を出し続ける人」の共通点が見出されます。つまり、各社のトップ5%の人とそうでない人の言動の違い、トップ5%社員とトップ5%リーダーの違いも抽出できます。
このデジタルデータの蓄積と分析に注目した弊社は、これまで812社のコンサルティングを通じて、この取り組みに共鳴していただいたクライアント企業25社と、データ収集と実験を行いました。
加えて、コロナ禍以降に起きた変化をふまえて、管理職(リーダー)に着目し、クライアント企業各社の「トップ5%リーダー」1841人、それ以外の管理職1715人を対象に、対面・リモートによるヒアリングやWebアンケートなどで調査を行いました。
未来へ導くリーダーの実像、withコロナでもbeforeコロナ以上に成果を出し続けている人の行動とはいかなるものかに迫ったわけです。