withコロナの成功パターン

偶然ではありましたが、コロナ前からコロナ禍をまたがって調査を進めることとなり、beforeコロナの「トップ5%社員」と、 withコロナのそれとで、共通点と相違点を確認することもできました。

beforeコロナとwithコロナで大きく異なったのは、コミュニケーション方法でした。

自分が主役の「伝えるコミュニケーション」と異なり、相手が主役の「伝わるコミュニケーション」は、対面のほうがそのテクニックを発揮しやすいといえます。

直接会うことができず、オンライン会議サービスを使っても、相手がビデオをオンにしてくれないケースが多発し、5%リーダーはかなり苦労したようです。

しかし小さな行動実験の積み重ねによって、withコロナの成功パターンを見出していました。この努力や行動実験はbeforeコロナでは必要なかったものです。コロナ禍で新たな課題が発生し、そして5%リーダーは解決したわけです。

厳しい状況下で、5%リーダーが目指していたのは「共感と共創」です。

経済格差が広がり、価値観の二極化が進む中で、「共感と共創」は今後社会の大きなテーマになるでしょう。5%リーダーはいち早く、時代を支配する空気の変化を感じ取り、すでに行動を起こしていました。

同情するのではなく共感し、一方的に提案するのではなく共に考え抜く。早くもそうした行動をチーム内に浸透させ、チームの目標達成へつなげていました。

効率重視から価値観の一致への転換

beforeコロナにおいて、トップ5%社員は徹底的に効率を重視し、最短距離で目標達成することを目指していました。

withコロナでは、人を巻き込むことが難しくなりました。また、メンバーの価値観の多様化が急速に進みました。その中で5%リーダーは、メンバーと対話を重ね、目指す方向を一致させていました。

コロナ禍でも成果を出し続けるためにメンバーと話し合いながら、チームの意義・目的を明確にし、チームメンバーたちに理解させることに集中していました。一見したところ、効率が悪いように思える地道な活動を行っていたのです。

時間をかけてでもメンバーたちと信頼関係を構築することができれば、さまざまな困難に直面しても心でもつながり続け、協力体制を維持することができると確認したようです。

また、人間関係を構築する際に、「弱くつながる関係」と「強くつながる関係」を切り分けているようにも見えました。メンバーとは心理的安全性を確保しながら、行動目標を設定し共に達成に向かって歩み続けることを意識しています。