1対1コミュニケーションを双方向にする工夫

5%リーダーが「コンパクトに話す」ことは、メンバーとの1対1のミーティングでも同様です。

一般の管理職は、1対1ミーティングで自分が話すのは7割、メンバーに話させるのが残り3割ぐらいでした。

一方、5%リーダーはメンバーに興味・関心を持ち、コンパクトな質問で相手に気持ちよく、そして長く話させます。ミーティング時間の平均67%を、メンバーに話をさせているのが特徴的でした。

5%リーダーは、メンバーに自分自身のことを考えさせる時間を作って、その気づきや学びを思う存分話してもらうことを狙っています。

「どうですか?」と冒頭で一方的に聞くことはありません。自分の経験や感想を軽く話してから、「たとえば私は◯◯ですが、あなたはどうですか?」と質問し、メンバーが答えやすい流れを作っていました。

答えやすい空気作りと、自発的に話す機会を多く与えること。こうした工夫をして、メンバーにたくさん話させ、双方向の対話へと変換させていました。

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【習慣③】48%が「メンバーにかなわない」と思っている

プレーヤーとして優秀な人が、リーダーの素養があるわけではありません。プレーヤー個人として成果を残すことと、チーム全体の目標を達成することは、実現方法も必要なスキルも異なります。

5%リーダーの48%は「自分がメンバー全員の能力を上回っている必要はない」と答えています。現場のメンバーが自分で考えて自走する組織を目指すうえで、リーダーがすべてを担って動く必要はないと考えているのです。

実際、現場や顧客、市場の近くで業務を行うメンバーのほうが外部の変化を受け取りやすいといえますから、役割分担をしたほうが目標達成に近づきます。

また、5%リーダーは、業務遂行能力を高めることを諦めています。自分の業務処理能力を高めることより、メンバーの能力を高めるために、チーム全体の調整をすることが自分の責務だと思っています。

仮に加入したばかりのメンバーがいた場合、その人は業務知識や業務処理能力がほかのメンバーより劣る場合もあるでしょう。しかし5%リーダーは、全メンバーに何らかのタレント(才能)があると信じているので、ほかのメンバーとは異なる才能を見つけ出し、それをチーム内で際立たせています。