原宿や渋谷は毎日が祭り

祭り化は街そのものにもおよんでいます。東京・原宿の竹下通りは毎日が祭りです。とても混雑していて、明治通りまで行くには表参道を通ったほうが早いのですが、社会観察だと思って機会があれば通りぬけるようにしています。

ひと言で表現すると、竹下通りは少女たちが占拠する異次元の祭り空間です。アジアやヨーロッパからやってきた少女たちの姿も目につきます。それぞれが「かわいい」をキーワードにしたファッションに身を包み、アニメやゲームのキャラクターを模したようなコスチュームを着ている子もいる。見知らぬ同士でも、たがいに写真を撮りあうのがここの流儀で、もちろんそれは私たちが考えるような記念写真ではなく、ネットにアップするための材料なのです。

もう1つ、祭り空間といえる場所が渋谷スクランブル交差点です。

写真=iStock.com/CHUNYIP WONG
※写真はイメージです

ちょうどハチ公前広場の斜め向かいにあるQFRONTというビルの2階に、スターバックスが入っていますが、ハチ公を背にして立つと、ガラス窓の向こうに客たちの姿が横一列に連なってみえます。たいてい観光客らしく、交差点を見下ろしながらコーヒーを飲んだりスマホで写真を撮ったりしている。その長いカウンターテーブルは、ガラス越しにスクランブル交差点を見下ろすことができる場所として海外にも知れわたりました。

さらにもう1つ、交差点を見物できる場所が、JR渋谷駅と京王井の頭線渋谷駅を結ぶ大きな渡り廊下で、ガラス越しに交差点を眺める人たちでいっぱいです。さらに近くのホテルなどは館内のカフェをわざわざ改装して、交差点が見える席を用意しました。

それにしてもなぜこの場所が、観光するに値する場所なのか。それはいうまでもなく世界で一番歩行者の多いスクランブル交差点だからです。最多では1回の青信号で3000人が渡る。こうしたスクランブル交差点は世界にも例がない。もちろんこれは、ハロウィンやサッカーワールドカップ日本戦終了時に押しよせる群衆の数ではなくて、ふつうの日の数字です。1日では平日に40万人、休日は60万人ともなるそうです。

これだけの人が1回の青信号、50秒足らずにもかかわらず、最長で約36メートルを渡りきる。人々が交差しながら、中には自転車で通る者もいますが、すべて渡りきってしまうところが、海外から来た観光客には見物に値するアクロバティックな集団行動に映るといいます。