親に何ができるのか?
お子さんの通われる高校が、コロナ禍にあっても、教育改革に成功し、質の高いオンライン授業や、時代の変化に対応した総合型選抜、学校推薦型選抜にも強い高校であれば何の心配もないが、そうした高校は少ない。
そして、多くの高校でもっと心配なことがある。同じ高校内であっても、昨年の臨時休校中に高校1年生だった学年(現2年生)では、自学自習できる優秀な生徒と、時間を浪費してしまった生徒に極端に二極化したことだ。臨時休校世代が高校2年生になり、いよいよ深刻に学力格差が開いてきたように見え、うまくいかなかった高校の大学合格実績が心配だ。学力が低い高校と大学は、簡単に入れる「負のウィンウィン関係」になってしまっている事例も多く、ぜいたくを言わなければ、そこそこの受験難易度の大学には、多くの高校生は入れてしまう時代なので、学力が身に付かないままの大学生は表面化しない。しかし、この世代の就活、その後、日本社会を担っていく若者が、基礎学力や、自分の頭で考えて行動する能動性が、コロナによって身に付かなかったとしたら悲劇というしかない。
親にできることは何か。子どもの代わりに英語や数学を受験してあげることはできないが、日常の家庭での会話が非常に重要になってくると筆者は考えている(飛沫感染に気を付けつつ)。なぜなら、総合型選抜や学校推薦型選抜で問われるのは学力に加え「なぜウチの大学に入りたいのか=志望動機」「そのために高校時代に何をがんばってきたのか=自己PR」だからで、これが決定的に重要だ。点数や偏差値で入れる大学を選ぶのとは違うからだ。
それを突破するためには、普段から、なぜ自分は大学に行くのか、何を学びたいか、社会でどう活躍したいか、将来どうなりたいのか、そのために高校時代に何をがんばってきたのかを、言葉や文章で説明できる必要がある。この力は一般選抜でも重要だ。普段から親子の対話の中で、こうしたお子さんの将来についてよく話し合う環境づくりこそが、お子さんがあこがれの進路をつかむために親にできることであり、おいしい夜食を出すだけが親の仕事ではない。大学受験は親の頭脳、知識、教養、コミュニケーション力を含めた総力戦になりつつある。ここまで恵まれた親の元に生まれる子ばかりではない。そして、格差は拡大する。