「子どもの76%が県外地からの移住者」
そんな小学校が、長野県は佐久穂町にある。2021年で開校3年目を迎えた、「学校法人茂来学園 大日向小学校」である。
開校当初、佐久穂町内から大日向小へ通う子どもは8人しかいなかったが、今では38人に増えた。それに伴い、長年減少傾向にあった町の人口がわずかながら増えた月もあるという。
多くの世帯が移住するほど魅力的な小学校とは、一体どんな場所なのだろうか? 開校当初から校長を務める桑原昌之氏と教頭の宅明健太氏※、そして娘が大日向小に通う保護者のやつづかえりさんに話を聞いた。
※肩書はいずれも取材当時
日本で唯一の「イエナプラン」認定校
大日向小は、1924年にドイツで発祥し、オランダで発展した「イエナプラン教育」をベースにした私立小学校だ。イエナプランとは、子ども一人ひとりの違いや個性を尊重し、社会で自立しながらも、他者と共生できる人物を育てていくことを目指す教育の考え方である。
2021年6月時点、日本でイエナプランを採用し、専門の機関から認定を受けている小学校は大日向小のみだ。
桑原校長はこう話す。
「学校は地域の公共財。子どもだけじゃなく保護者も教職員も地域の方々も、学校を中心にして皆が幸せになれる、そんな場所を目指しています。いわゆるクラスは『ファミリーグループ』と呼ばれ、異学年で構成されています。現在は、1年生~3年生まで交ざった教室が3クラス、4年生~6年生まで交ざった教室が2クラス。中等部(フリースクール)に通う中1~中2の生徒も9人、同じ教室で学んでいます」