納税意識の驚くべき希薄さ

東京都世田谷区にチューリップを設立した徳井氏だが、法人税の無申告は報道で明らかになった18年3月期までの3期分だけにとどまらなかった。自ら進んで確定申告した年は、同社設立以来一度もなかったというのだから、その納税意識の希薄さには呆れ返ってしまう。

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まず初年度の10年3月期から12年3月期までの3年間、いずれの期も期限内に法人所得を申告しなかった。

所轄の世田谷税務署の指摘を受けて、12年6月に3期分まとめて期限後申告したものの、13~15年3月期の3年間もまたもや申告せず、同税務署の指摘で15年7月に3期分まとめて期限後申告した。後者では同税務署の再三の納付の督促に応じず、16年5月に銀行預金を一時差し押さえられている。

ところが徳井氏は性懲しょうこりもなく、16~18年3月期の3年間も無申告を続けた。

業を煮やした世田谷税務署は18年9月、この3期分の無申告を指摘するとともに、同年11月から12月にかけて、15年3月期までの4年間の申告内容を調査。経費計上されていた旅費や衣装代、それに高級腕時計の購入費など合計約2000万円分について、同氏の個人的な支出と認定して、意図的な所得隠しを指摘した。

同氏がこれに全面的に従ったため、同氏の税理士も否認された経費額の詳細までは把握していないという。

追徴課税の総額は1億200万円以上

18年12月、チューリップは無申告の16~18年3月期の3期分の確定申告書を提出するとともに、15年3月期までの4期分に関する修正申告書を提出した。

無申告の法人所得は合計約1億1800万円で、これに4期分の隠した所得約2000万円に対する追徴分を合算すると法人税の追徴総額は約3700万円。このうち無申告加算税額が約510万円、所得隠しに課せられる重加算税額が約180万円に上った。

18年3月期までの7期分の追徴税額はこの他にも、消費税の申告漏れや無申告が約2100万円、徳井氏に対する役員報酬から天引きすべきだった源泉所得税が不納付加算税などを含めて約4400万円となり、法人税分と合わせた追徴税額は約1億200万円に達した。

これには住民税などの地方税は含まれておらず、追徴税の総額はさらに膨らんだはずだ。

個人事務所のチューリップの法人所得が無申告なら、同社の代表者としての徳井氏の所得税が適正に申告されているはずもない。チューリップが15年3月期までの3期分の無申告を世田谷税務署に指摘された際、同氏も12~14年の所得税の無申告を指摘され、15年7月に期限後申告していた。

今回の無申告に絡む15~17年の3年分でも同様で、同氏は同署の指導に従って18年11月に期限後申告した。チューリップは設立時に社会保険の加入手続きもしておらず、社会保険料を納めていなかった。