新型コロナウイルス感染拡大の影響で、資金繰りに苦しむ企業や個人事業者が多い。公認会計士・税理士の佐久間裕幸氏は、「一定の条件下で、申告や納税を待ってもらえる制度がある。特に申告の期限延長制度については、このコロナ禍でほとんどの人が当てはまる上に、特別な手続きもいらない。ぜひ活用するといい」という――。
税務署への申請で納税が猶予される
新型コロナウイルス感染症の影響で、企業や個人事業者は、大きな売上減少や休業手当の支給による運転資金の不足に直面している。そのような状況で、税務署に申請することにより納税猶予を受けられれば、資金繰り面で大きな助けになるだろう。
2月決算で4月末申告の会社であれば、通常4月末までに法人税、消費税の納付をしなければならない。個人事業者で令和1年分の確定申告書を提出済みであれば、4月16日までに納付をするのが原則で、振替納税を利用している場合5月15日に引き落とし日が到来する。あるいは、従業員が多い企業では、4月の給与から源泉徴収した所得税を5月10日までに納付しなければならない。
こうした状況の中で、新型コロナウイルス感染症の影響により、国税を一時に納付することができない事情があれば、税務署に申請することで、審査のうえ原則1年以内の期間、納税の猶予が認められる。この場合、以下の要件のすべてに該当していなければならない。
①国税を一時に納付することにより、事業の継続又は生活の維持を困難にするおそれがあると認められること。
②納税について誠実な意思を有すると認められること。
③猶予を受けようとする国税以外の国税の滞納がないこと。
④納付すべき国税の納期限から6カ月以内に申請書が提出されていること。
②納税について誠実な意思を有すると認められること。
③猶予を受けようとする国税以外の国税の滞納がないこと。
④納付すべき国税の納期限から6カ月以内に申請書が提出されていること。