手続きは必要なし、余白に一言書くだけ

今般、政府の緊急事態宣言が全国に拡大されたことで、ほぼすべての企業や個人事業者がこの条件に該当することになろう。所得税、法人税、消費税といった申告納税の税目は、申告をすることにより税額が確定し、納税義務が発生する。すなわち、申告期限の延長は、納付期限の延長とセットになる。そのため、延滞税等の発生もないということになる。

新型コロナウイルス感染症の影響により、期限内に申告・納付することが困難な個人事業者、法人については、申告・納付ができないやむを得ない理由が解消した日から2カ月以内の日を指定して申告・納付期限が延長される。申告書等を作成・提出することが可能となった時点で申告を行えばよい。振替納税を利用している個人事業者の振替日については、所轄の税務署から個別に連絡が来る。

この個別延長の手続であるが、申請書が複雑ではこうした手続に慣れない納税者にとって負担になる。そこで、国税庁では、申請書等を別途、提出する必要はなく、申告書の上部余白に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」である旨を付記するだけで良いとしている。すなわち、本来の申告期限が到来する前に何か手続をするのではなく、申告書の提出ができるようになった時点で、提出する申告書に付記をするだけでよいのである。

電子申告の場合も一言入力するだけ

また、電子申告をする場合には、所得税のe‐Taxによる場合、「送信準備」画面の「特記事項」欄に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」と記載し、法人であれば「電子申告及び申請・届出による添付書類の送付書」という添付書類の「電子申告及び申請・届出名」欄等に、「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」と入力しておけばよい。また、従業員の給与から天引きした源泉所得税を納付する所得税徴収高計算書の場合には、計算書の「摘要」欄に「新型コロナウイルスによる納付期限延長申請」と記載すればよい。

手続の詳細は、次のURLの国税庁のWebサイトに掲載されている。

以上のように、すでに納期が到来している税金については、納税猶予の申請を行い、これから納付期限が到来するものについては、申告・納付期限延長の手続をすることで、納税の時期を遅らせることができる。

特に申告・納付期限延長については、申告書等を作成・提出することが可能となった時点で動き出せばよいのであり、助成金や融資のような申請書や添付書類の提出や審査といったプロセスを要しない。個人事業者、会社等の資金繰りの大きな味方になってくれるだろう。

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