2022年頃までは焼肉店の新規オープンが続く
そして三番目、ここが一番の問題なのですが、そのような将来が予想されているにもかかわらず、2022年頃までは焼肉店の新規オープンが相次ぐことになります。
理由としては、まず足元で絶好調な数少ない外食業態だということで、苦戦する別業態からの業態転換による参入が相次ぐことです。実際に居酒屋の和民の全店舗業態転換は、低価格焼肉チェーン同士の戦いを激化させるでしょう。
同じく絶好調な回転ずし業態と違って、焼肉業態には参入障壁が低いという弱点があります。仕入れでは回転ずしに比べると他店との差がつかないうえに、焼肉店は顧客が自分で調理をするので厨房にも職人は必要ではありません。そのうえでお店全体もDX(デジタルトランスフォーメーション)化・省力化しやすい業態でもあります。
無煙ロースターを設置して、テーブルにQRコードを貼り付けて、スマホでオーダーさせてその注文を厨房と結べば、省力化店舗ができあがる。そして他業態から参入もしやすい。そのような業態なので、この先数年間の過当競争はまず避けることが難しいでしょう。
よくよく考えれば今の日本は少子高齢化なので、長期的には市場全体の胃袋は小さくなるわけです。つまりこの先に待っているのは焼肉店の供給過剰であり、そこからの生き残りがアフターコロナの課題になるでしょう。事情をすべて勘案すれば、コロナ禍で絶好調だった焼肉業態にとって、アフターコロナはあらたな試練の時になる可能性が高いと私は予測しています。