大手メディアが報じない安倍政権の実績
わが国で失業率統計がはじまった1953(昭和28)年以降、失業率を下げたのが29政権、就業者数を増やしたのは10政権しかない。その中で、もっとも失業率を下げたのが安倍政権であり、就業者数も佐藤栄作政権に次いで2番目に増やしている。
この比類なき実績と、日銀が決断した金融緩和策の成果を、大手メディアが積極的に報じないのは不思議というしかない。
日銀の「金融政策」と「自殺」との関係などといわれると、この2つはなかなか結びつかないというのが一般の人の感覚ではないだろうか。しかし、自殺率は失業率との相関性が高いため、失業率が下がれば自殺は減っていく傾向がある。雇用の改善と人の命はつながっていると考えていい。
警察庁が発表している令和2年度の自殺者数は2万1081人。対前年比で912人(約4.5%)増加した形だが、2013年の金融緩和開始からの数字を見ると、令和元年まで毎年減少が続いてきた。
令和2年度に関してはやはり新型コロナウイルスの感染拡大が大きく影響していると思われるが、その前年までの自殺者の減少傾向は、日銀が推し進めた金融緩和政策の成果だと考えている。
自殺も犯罪も金融緩和で減らせる
失業率をどのくらい下げると自殺者の数がどのくらい減るかについて、筆者はかつて推計したことがある。
それによると、失業率を1%低下させると、自殺者はおおむね3000人程度減らすことができる計算だった。失業率と自殺率の間に高い相関がみられるのである。また、金融緩和により雇用が改善されると、社会の安定にもつながるのだ。失業率が低下すると自殺率が低下するように、失業率の低下は犯罪率の低下とも相関があるからだ。
普通に考えてみればわかると思うが、無職だった人が定職に就くことができれば、前記のような経済生活問題を原因とする自殺は必然的に減り、並行して犯罪も減る。こうしたことも、実は過去のデータから確認できるのだ。金融緩和すれば、自殺率や犯罪率は減少するのである。
このように、中央銀行の金融政策は、雇用創出という経済効果だけでなく、社会を安定させるという効用もあるのだ。このことは、もっと国民に広く知られるべきことだと筆者は考えている。