週5日8時間稼働で路頭に迷わない

念のためにUber Eatsの仕事内容を説明しますと、専用アプリで指定される店に行って受け取った料理(中身が傾いたりこぼれたりしないよう、お店側がかなり工夫しています)を、同じくアプリで指定された場所(アクセスがわかりにくい場合、チャットや通話で注文者と連絡が取れます)に持っていって渡すだけです。

必要に応じて地図アプリも見るくらいで、よほどの方向音痴でない限り、とくに難しいことはありません(「配達先に路上を指定される」といった謎オーダーもちらほらありますが、そのうち慣れます)。

配達1件で得られた報酬は500円ほど。私の脚力や地理感覚は、まあ人並みと自覚していますが、店も注文も多く数がさばける都心部を選んだこともあり、マイペースにやっても1時間あたり最低2件、運と努力で4件近くまでこなせました。

これはつまり「時給1000円以上はほぼ確実、頑張れば2000円が見える」ということですから、週5日・8時間稼働まで覚悟すれば、路頭に迷うようなことはまずありません。「特別な知識・経験がなくても、好きなとき・好きなだけできる仕事」の対価としては満足な水準と感じます。

さらに言えば「勤務中の事故などをカバーする保険が自動でつく」「最短3日・遅くとも1週間強で入金」という条件も、こんにち個人事業主に提示される内容としては普通に良心的な部類でしょう(むろん、こうなるまでに待遇改善を求めて声を上げた人々の尽力があったことは忘れてはなりません)。

出所=『しょぼい起業で生きていく 持続発展編』

時間も服装も働き方も自由で月収100万円

東京都心の地理を究めたメッセンジャー経験者が、宅配仕様に改造したバイクを使い「コロナ禍まっただ中にUber Eatsで月収100万円」を達成したことが、一時ネット上で話題となりました。

この方はいわば「配達のプロ」であり、しょぼい起業のかたわら参入しようとするわれわれとは次元が違います。それでもインタビューの中でUber Eatsの仕事を好む理由として挙がったとおり、「時間も服装も働き方も自由」なのにもかかわらず、ここまで稼げるというのは夢のある話でしょう。

もちろん、よいことばかりではありません。

「注文の入り具合には地域差が大きく、効率よく稼げるエリアばかりではない」「長時間配達するなら、自転車やバイクにそれなりの投資が必要」というのも事実であり、実際のところ慣れない荷物をしょって、普段使いのママチャリを走らせた私は、ほどなく腰痛に見舞われました。

坂の少ないエリアで、しかも1日4時間だけの稼働にもかかわらずです。

住む場所、予算、かけられる時間、それに体力もまちまちですから、万人向けのアドバイスは難しいところです。ただもし、私が池袋エリアで配達員を長く続けるなら、月2000円(と、30分を超えるごとに100円〔※〕)で電動アシスト自転車が借りられるシェアリングサービスを試しながら、似たような中古を相場の3~4万円で買って元を取る戦略を考えたと思います。

※クレジットカードかドコモ携帯の契約が必要。交通系ICカードでの日極め払いは割高で、対応箇所も少ない。(新宿区自転車シェアリング