中国とインドの思惑とは?

このミャンマー情勢を巡り、国際社会の対応は割れています。積極介入する欧米に対し、中国やインドは欧米の介入を批判し、静観しています。というのは中国とインド、ミャンマーをはさむ二つの大国には、それぞれ思惑があるからです。

まずミャンマーの東側に接している中国。現在、中国は経済力を高めていますが、経済力というのは上がれば上がるほど、中東からの原油に依存することになります。原油を中東から輸入するには、中国の石油タンカーは必ずシンガポールとマレーシアの間の“マラッカ海峡”を通らなければなりません。実は、このマラッカ海峡を守っているのが米海軍。中国としては、経済が強くなるほど、マラッカ海峡を支配しているアメリカに頼らざるを得ない、いざとなったらアメリカにやられるという不安が高まってきます。これを地政学用語で“マラッカジレンマ”といいます。中国がそんなジレンマを解消するために、狙いをつけたのがミャンマーです。

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マラッカ海峡の北西に位置するミャンマーには最近、中国の奥地から一本で行ける鉄道ができました。そこで中国は、この鉄道を使って原油を輸入したい、そうすればマラッカ海峡を通らずにすむ、と考えました。パイプラインを使えるうえに、うまくいえば投資のリターンもある、いいとこ取りができるという思惑があるわけです。ミャンマーもまた価値観の違う欧米とは、距離をおきたいと思っている。そこに価値観も何も気にしない中国が手を出してきたという状況です。

一方、西側に接するインドも勢力を強めています。大国というのは、自分の国の裏庭で勝手にやられることをすごくいやがりますから、中国がミャンマーに進出することを警戒するのも当然のことです。そこでインドは、ミャンマーの南西側にあるアンダマン・ニコバル諸島というインド洋にある島の守りを強めています。中国がミャンマーの陸地を支配下に置くなら、海は絶対に渡さないぞと。これがインドの思惑です。