G7サミットに韓国が招かれた意味
6月13日、英コーンウォールで開催された主要7カ国首脳会議(G7サミット)が閉幕した。今回のG7のポイントは、強力な対中包囲網が出来上がったことだ。共同宣言に、新疆ウイグル自治区の人権問題や、台湾海峡の平和と安定などが盛り込まれたことはその象徴といえる。
今回のG7サミットには韓国も招かれた。その意味は慎重に考えるべきだ。特に、中長期的な経済への影響は軽視できないだろう。足許、韓国では車載半導体の不足が深刻だ。その一方で、米国は日台との連携を強化し、半導体など経済成長と安全保障にかかわる重要資材のサプライチェーンの再構築を重視しているとみられる。
本来であれば、車載半導体の調達に加えて、ドル資金の確保など中長期的な経済の安定のために、韓国にとって米国などとの連携を重視する必要性は高まっていると考えられる。
しかし、依然として文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、安全保障を米国に依存する一方で、経済面では対中関係を重視、優先しているとみられる。韓国が米中のはざまで“いいとこどり”を続ける場合、世界経済の中で韓国経済が孤立するリスクは高まるだろう。足許、回復基調にある韓国経済ではあるが、中長期的な経済の展開は楽観できない。
半導体不足は深刻さを増している
足許、世界的に半導体不足が深刻だ。それが韓国経済に与える影響は大きい。世界的な半導体不足の背景を確認すると、リーマンショック後、世界的にクラウドコンピュータやスマートフォンの利用が増えた。2015年ごろからはデータセンターへの投資が増加し、半導体需要が押し上げられた。
2018年に入ると米中対立が半導体の需給を逼迫し始めた。米国の制裁発動に備えて、中国の通信機器大手ファーウェイなどが世界最大のファウンドリーである台湾積体電路製造(TSMC)や韓国のサムスン電子への発注を増やし、在庫確保に動いた。
その結果、いち早く最先端の回路線幅5ナノメートルの(ナノは10億分の1)生産技術を確立したTSMCの生産ラインを、米中のIT先端大手企業などが争奪し始めた。さらに、コロナ禍によって世界経済のデジタル化が加速した。
2021年に入ると米テキサス州での寒波によるサムスン電子の半導体工場の被災、わが国半導体工場の火災も加わり、世界全体で最先端から汎用型まで半導体の不足が鮮明だ。2023年まで半導体不足が続くと考える半導体業界の専門家もいる。